盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
8月上旬、盛岡から津軽へ。
東北自動車道にのり、奥羽山脈を北の端まで走り抜ける。
青森県に入ると、突然の不気味な雲。
フロントガラスを叩く雨粒。
速度を落とし慎重に。
ちょっと不安になる雨の降り方。
最近、多くなった。
しばらくして青空が見え隠れ。
いつまでも続かないと、
分かっていてもほっとする。
晴れ上がる頃には津軽平野を走っていた。
黒石市辺りで1時半。
東北自動車道を下りた。
ランチは黒石の「金の銀杏」へ。
こみせ通りの裏手になる。
店からこみせと呼ばれるひさしが長く伸び、それが連なっている。
雨や雪を避けて通れる独特の形。
江戸時代から続いてるそうだ。
目印の大きな銀杏の樹。
路地を挟んで向かいに駐車場がある。
開いている様だ。
Danny Elfman - After Midnight
<音楽が流れます、音量に注意>
蕎麦や「金の銀杏」。
昨年も同じ時間帯に来たが、蕎麦が完売し閉まっていた。
よかった。
相変わらず寡黙な店主。
天ざるを注文した。
「少しお待ちください」と厨房に戻った。
前に来たのはいつだったろう。
記憶では数年ぶりの気がする。
こんな時ブログは便利だ。
調べると、あっさり答えが出る、2021年に訪れていた。
待つ間、仕事のメールの返事をしたり、
スマホは傍らから離せない、今や私の有能な秘書。
「お待たせしました」
「あの、写真撮っていいですか」
「いいですが、早く食べてくださいね」
「はい、ありがとうございます。」
あれ、いつものセリフがない。
まずは急ぎカメラを向け1,2枚。
そして、つゆをつけずに食べた。
いつも蕎麦を置きながら、
「始めは、何もつけずに味わってみてください」
と言うのだ。
そのまま口に入れ蕎麦の風味を楽しむ。
揚げたてで小気味のいい食感の天婦羅を挟んで、蕎麦。
3分の1ほど食べてしまった。
それからつゆに浸す。
何気なく店主は、こちらを見ていた気がする。
素材を活かし、ころも少な目で丁寧に揚げた天婦羅は蕎麦と抜群の相性。
箸が止まらず夢中で食べた。
しばらく蕎麦の世界に引き込まれていた。
美味しい。
出汁の香る蕎麦湯を飲みながら、聞いてみた。
「何年になります?」
「21年です。」
改めて彼を見る。
始めて来た頃の初々しい店主は、もう立派なそば屋の大将だ。
あれから十数年。
ますます蕎麦も美味しくなったと思う。
始めに何もつけずに食べて欲しいと言わなかったのは、
私の事が少し記憶に残っているのだろうか。
そうだとすれば嬉しい。
まあ確かめる事でもないし、
「美味しかった」と告げ、今や名店金の銀杏を後にした。