盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
先週、見かけた神社の夏祭。
盛岡市の住宅街にある住吉神社。
由来は、前九年の合戦の頃まで遡り、
住吉大社の分霊で南部藩時代にここに遷座したそうだ。
平成25年に、この神社が建立した体操神社もある。
縁日の前で遊ぶ子どもたちの声。
この辺りに、こんなにも子どもたちがいたとは。
浴衣を着た子もいた。
みんなの眼は輝いている。
懐かしい光景を前に頬が緩んだ。
大人たちの顔つきもやわらかい。
新しい建物でのイベントなどもいいが、
昔ながらの夏祭にほっとする。
Amore mio Aiutami (Violin Version) - Piero Piccioni
子どもの頃、祭は遠くで見ていた。
縁日で何かを買ってもらった記憶がない。
父がプラスチック製の鉄人28号だったかな、
お面を買ってきたことがあった。
被るとプラスチックの匂いがして息苦しく、
何日かして白いゴムの紐が切れた。
丘の中腹の家の縁側から花火を見た。
スイカを食べながら秒差で届く音。
ドーンと鳴ると、後ろにそっくり返って遊んだ。
翌日、河原に行き、花火の後の小さな落下傘を探した。
中学の途中で山間の小さな町に転校した。
祭りは淋しく感じた。
夏祭りの日、通りを歩いてると、呼ぶ声。
「千葉君!氷、食べるかい?」
同級生の快活な女の子がかき氷屋でアルバイトをしていた。
氷イチゴの様に顔が真っ赤になった。
社会人になったばかりの頃、
盛岡の夏祭には、裏道を歩いていた。
今では夏の風物詩「盛岡さんさ踊り」。
部署によっては出ないわけにはいかないことも。
秋には山車と歩いた。
浴衣や祭りの装束は、草履と一緒に押入の奥。
ただ、毎年、五所川原の立佞武多を見に行く。
十年以上通っている。
今まで多くのイベントに関わってきたが、
祭りが好きなのか、どうかは未だに分からない。
先週、個展を見てきた。
場所は中央通の「盛久ギャラリー」。
さいとうゆきこさんというイラストレーターの作品。
個展は「お話の扉」という題。
今までとは違う作品が並ぶ。
私の本の制作のデザインを依頼している。
イラストレーターながらデザインもする。
本のイラストや表紙も数多い。
もう十年近いつきあいだが、
ここ数年、毎年作品の傾向が変わってきている。
そして何より、個展や作品のタイトルがいい。
今回は「お話の扉」、「イシノオト」、「おだやかな日々」、
「山を抱く」、「旅先からの手紙」に「林の詩」というのもあった。
この鹿踊りは非買品。
妹さんの作品も人気だ。
品のよい小物が並ぶ。
さいとうゆきこ
その日、カツ丼が食べたいという方と夕飯の約束。
中ノ橋通「北田屋」へ。
その人が食べたかったカツ丼。
とても美味しそうだ。
厚みのある豚肉をしっかり包むころも。
下に敷かれた玉ねぎ。
「そうそう、玉子のこの感じが好きなんだなぁ~」
と目を細める。
私は天ざるのそば大盛。
揚げたての天ぷらはふんわり。
北田屋も紅葉おろし。
たっぷりのそば。
そばの風味を味わう。
細目でやわらかめで飽きのこない味。
いくらでも食べられる。
この間も50代のサラリーマン二人がもり三枚ずつ。
話しながら1枚、2枚と軽く食べ、3枚目をゆっくり味わっていた。
食べすすむにつれ、つゆにそばが少し溶け、
いつも蕎麦猪口に残ったつゆを飲み干す。
紅葉おろしがピリッといいアクセント。
毎日食べてもいいと思う。
実際にサラリーマン時代は3日ぐらい続けて食べたものだ。
女将さんと世間話。
そして花のことを聞く。
今日はカーネーション。
満足して北田屋を後にした。
その日も夕陽が真っ赤だった。
一緒の人が「岩山から眺めてみようよ」
街から10分もしないうちに展望台に着く。
熱気が街を覆い、夕陽は赤い。
先日も真っ赤な夕陽を見たせいで、
さほど不気味だと思わなかった。
今年の夏は、暑くなるんだろう。
祭りの後の虫の音、夕立の後の涼風。
海にとまり、親たちを残し子供たちで浜辺に行った。
肌をさするほどひんやりした風だった。
昼に暑くても陽が落ちると涼しくなる北国の夏はどこへ。
盛岡市中ノ橋通一丁目
「そば処 中ノ橋通 北田屋」