盛岡食いしん爺日記
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仕事も含めて色々な用事が重なった。
ようやく一息。
こんな時は温泉に限る。
網張の麓、ロッヂたちばなの湯。
ぬるめの湯がいい。
ゆっくり入り、じわじわと芯から温まる。
体重は75キロ。
昨年は67キロぐらいだったが、だいぶ増えてきた。
宿の人が話していた。
日毎に温泉の色が変わる。
確かにそうだ。
赤茶けた色の日や透きとおるお湯の日もある。
帰りに産直松の実に寄った。
同じ敷地に手作りアイスクリームで人気の松ぼっくりがある。
珍しい野菜やわさび、がんづきなど多彩な品揃えで人気の産直。
April Come She Will · Simon & Garfunkel
気がつけば7月。
早い、としか言いようがない。
どうして子供の頃は、一日があんなに長く感じたのだろう。
特に夏休みに入る日までの頃。
黒いランドセルを背負って小さい溜息を吐いては学校へ行く。
終業式が終わると、夏空が気持ちよかった。
ところが始業式の日はうつむき加減。
宿題やたくさんの荷物が重かった。
盛岡へ着いてもまだ明るい。
手作りハンバーグの瑠奈へ向かった。
入口の立て看板。
たっぷりチーズののったハンバーグと思って来たが方針変更。
熱々鉄板で牛のサイコロステーキ。
宮守わさびを添えて200グラムにした。
美味しそうだ!
つけ合わせのナポリタン。
中学生の時、隣の席の女の子の弁当によく見かけた。
「いつも食べたいなぁ~」と思っていた。
その子とは幼稚園から一緒だった。
幼稚園の帰り、寄り道していると、
「早くおうちに帰りなさい」
と涼しげな微笑み。
ふんとして家とは逆の方向に歩き出した。
しばらくして振り返ると、S子ちゃんの姿は見えなかった。
少しがっかりした。(笑)
ある日、母の弁当はトンカツ。
キャベツの千切りもたくさん入っていた。
しかし、醬油もソースも見当たらない。
諦めてむしゃむしゃ食べていると、
机の傍に人影。
顔を上げるとS子ちゃん。
「ソースも醤油もあるよ、使う」
すぐ顔を下げ、黙々とキャベツを食べた。
数秒ほど立っていたが、それ以上言わずに、
座って自分の弁当を食べ始めた。
食べ終わりちらりと隣を見ると、
あのナポリタンを箸で摘まんでいた。
どうして、あの時の事を詳しく覚えているのだろう。
サイコロステーキは、やわらかく噛むほどにほとばしる牛肉の旨味。
焼き加減もいい。
幼い日の想い出もスパイス。
この店のオーナーの田んぼの米も美味しいのだ。
宮守のわさびもたっぷり。
肉の甘味を引き締める。
美味しい、これならいくらで食べられそうだ。
300グラムの文字が浮かんだ。
まあ、200で十分だ。
今日、来てよかった。
昭和54年創業の喫茶店からカフェレストラン「瑠奈」。
もう45年、落ち着いた雰囲気そのまに、
今も美味しいハンバーグで人気だ。
店を出ると、まだ薄明るい。
虫籠を肩からぶら下げ、手には竹の柄のついた虫取り網。
蝉のなく木にゆっくり近づき網をさっと被せる。
シュッと蝉はおしっこを振りまいて飛び去る。
朝早起きして公園へ。
街灯の傍の木を見る。
カブト虫らしきものは高い所。
たいてい家に帰ると籠の中は空だった。
温泉に入りゆっくり食事を楽しんだ。
そんな日は、想い出にも浸る日。