盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
花巻での用事がすんで夕方になった。
2年半ぶりの「嘉司屋(かじや)」さんへ。
創業明治37年(1904)の老舗。
素晴しき日々へ 『あぐり組曲』より
<音楽が流れます、音量に注意>
その晩、ほほ満席。
店を出る人がいたかと思えば、次の人が入って来る。
久し振りに来たのでメニューを見る。
「おや?」
やはり老舗の蕎麦屋「やぶや」さんで食べた賢治セットがある。
2年半ほど前はなかったはずだ。
メニューをよく見ると、
宮沢賢治さんは、やぶやさんでは、天ぷら蕎麦と三ツ矢サイダーで、
嘉司屋さんでは、かしわ南蛮と三ツ矢サイダーを好んだらしい。
セットは、かしわ南蛮ではなく天ぷら蕎麦だった。
以前より蕎麦が細くなった気がする。
気のせいかな?
温かいそばに紅葉おろしを入れた。
そういえば、ここではざる蕎麦の時に、
紅葉おろしとわさびがついてくる。
どちらを入れるか迷う。
子どもの頃は、岩手の県南、旧伊達藩で育った。
せいろはわさびだった。
盛岡や県北の旧南部藩では、逆に紅葉おろしが多かった。
花巻は伊達と南部藩の境だけに、両方あって面白い。
食べ始めたらあっという間に完食。
さて、そばの後にサイダー。
不思議な組み合わせに一瞬のためらい。
ゆっくり飲む。
朧げな記憶だが、
子どもの頃のサイダーとは少し違う。
炭酸がきつくなく、ほんのりとした甘味。
子どもの頃はラムネ、
高校時代になるとコーラやファンタ。
気がつけばサイダーとは縁が薄くなっていった。
大人になってからは殆ど見かけることもなかった。
賢治さんは、盛岡の盛岡劇場にもよく来て八幡界隈で、
蕎麦や洋食を楽しんだらしい。
その時も飲んだのだろうか?
いつか、宮沢賢治ゆかりの地を訪ね歩いてみたい。
三ツ矢サイダーを飲むだけで想いが巡る。
楽しいに違いない。
昔のようにげっぷも出ない。
会計して嘉司屋を後にした。
今年、冬の夜道は滑ることもない。
勿論、道路が凍結しない方がいい。
でも、当たり前の暮らしに変化が起こると、
どこか不安なものだと、
思いながらの帰り道。