盛岡食いしん爺日記
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雪が降った。
積もるほどと思っていなかったが、
紅の紅葉に白くのっていた。
山懐の深い森の樹々は、
雪が降る前に葉を落とさないと、
大変だ。
重みで枝が折れてしまう。
雪を抱えた姿に風情を感じるが、
紅い葉は驚いたに違いない。
ましてや枝は大変だ。
Erroll Garner – Laura
雪と言えば、
そろそろ始まる盛岡の老舗そば屋「直利庵」の「たちこそば」。
その夜、ある方が行ってきたとのFacebookの記事。
行かねば!
翌日、午前中に歯医者。
後は12月の下旬に予約。
その他の用事を済ませて11時を少し過ぎた。
さあ、直利庵へ。
瓦の屋根に残る雪。
今日は別の入口から。
この傘は、昔、実際に使っていたもの。
丼も。
いつ頃の物なのだろう。
残り少ないそうだ。
今日は個室で。
(12月中旬も10人ほどで個室を予約しています。)
初めに白舞茸のしょうが煮。
出汁のきいた汁に舞茸の旨味も加わり、
一滴も残さず飲んでしまった~
漬物も。
シャキシャキしたキュウリは、何角形だろう。
この形にも意味があるのだろう。
ほどなくして、来たぁ~
この「たちこそば」を一度食べたら、毎年食べずにはいられない!
久し振りに恋人にでも会う気分。(笑)
今では直利庵の冬の名物。
「たちこそば」。
北海道では真鱈の白子を「タチ」と呼ぶらしい。
それで「たちこ」のようだ。
たっぷりのねぎの上にのる見事な白子。
ふわふわで臭みもなく、口の中で溶けていく。
この味、食感は老舗の技がうみだすのだろう。
消えてしまった後の余韻を楽しむ。
これなら、いくらでも食べられる。
たっぷりの長ねぎの千切りは、
主役を引き立てる名脇役。
美味しい~
この時期、新そばと絶妙の調和。
食べるほどに嬉しくなる。
そば湯をいただく。
始めはそのまま。
次に少し塩を入れる。
おしまいは、残ったつゆを少し入れて飲む。
白子の食感が蘇る。
130年を超える歴史のある直利庵。
代々の作り手が手間と丁寧な仕事を引き継いできた。
「オニオンそば」、「カツ中華」や夏の「野菜そば」もそうだが
脈々と受け継がれてきた出汁が基本にある。
そして美味しいものを作ろうと、
女将さんはじめ店の人たちの心がしっかりと、
食べる人に向いている。
ホームページに「直利庵の想い」が書いてある。
その中のある一節が頭に残っている。
「歴史の上に胡坐をかくのではなく、常に進化、そして、深化。
どこまでもおそばにこだわります。」
盛岡の町は変わっても進化と深化を続ける直利庵の心は、変わらない。
満足のランチの後は、仕事、仕事!