盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください>
盛岡の西隣の雫石町。
小岩井農場の辺りまで来ると、
ひと際岩手山が大きくなる。
ここから車で10分ほどで「風光舎」。
林の中の素敵なカフェ。
今日は、風光舎の四季を紹介。
Doe Eyes (Love Theme From The Bridges Of Madison County) Lennie Niehaus, Clint Eastwood
「2022年の4月下旬」
小岩井を走り、風光舎に向う。
春は大地から山へ駆けあがる。
枝は、元気よく空に伸び始めた。
色んな花が咲き出す。
宮沢賢治は、岩手山麓をよく歩いたらしい。
鉱石を探したり、森を歩いたり。
大地の風と光を感じたことだろう。
おや!
小鳥が窓の傍に。
消えかかる雪の小さな塊り。
火照った身体を冷ましているかの様だ。
今の時期は、つがいで行動し巣作り子育ての準備に忙しい。
オーナー夫妻が教えてくれた。
「春、5月中旬」
山吹の花咲く風光舎。
アプローチを歩く。
山吹色をバックに紫のムスカリ。
まだ小さな林檎の木にも咲いた。
色々と花の名前を教わったが、
紫のムスカリと林檎の花しか覚えていない。
その日はケニアとキウイのロールケーキ。
優しい甘さとキウイ。
香りを楽しみ、深いコクをゆっくり味わう。
少し開いた窓からの風。
会計しながらオーナー夫妻と話した。
「山吹が綺麗ですね、庭に色んな花も咲きだして」
すると奥さんは、
「もうすぐ満開です」
するとご主人が、
「いやいやもう満開ですよ」
皆で笑った。
「真夏の風光舎」8月下旬。
「The earth 大地」というブレンドにした。
深煎りのブレンドで、逞しい中に心地良い苦味。
合歓木が映る。
カップとソーサーは、英国のミントンかな?
バスク風のチーズケーキ。
散らされた岩塩が、より深いコクへと誘う。
美味しい。
林に入ると蝉時雨。
戻った夏に力を込めて一斉に鳴く。
辺りを探したが、一匹も見つけられない。
夏の終わりの大合唱。
奥さんが植えた姫林檎の木。
今年は少し実をつけたものの葉が枯れ落ちていた。
もうトンボがいた。
「晩秋の風光舎、10月下旬」
その日、靴の展示会があった。
並ぶ靴たちを見て林の色だと思った。
皮の色、品の良い光沢。
「注文をいただいてから1年はかかります。」
話していると丁寧な仕事ぶりが伝わってくる。
「はきもの工房うえの」の展示会は晩秋に風光舎で開かれる。
その年に注文をしたら、来年の秋の受取りになる。
かぼちゃのプリン。
甘さを抑え、カボチャの風味を楽しむ。
そこにキャラメルソースが、仄かな甘味を演出。
カップに映る合歓木と灯り。
そこから立ち上がる香り。
深煎りのケニアは、柔らかな苦味と酸味のバランスがいい感じ。
もう一杯飲みたくなる。
気がつけば残りひと口。
ゆっくり飲み干した。
紅葉も終わりかけ、樹々の葉が散っていくのに、
今、咲き出した様にも見えた。
「真冬の風光舎」
23年2月上旬。
窓辺の女性二人は珈琲やケーキにスマホを向けている。
カウンターで静かに珈琲を楽しむ人。
窓の席で雪景色を眺めている人も。
オーナー夫妻は、今日も忙しそうだ。
薪ストーブの温もりを感じながらダウンを脱いだ。
ケニアとシュークリーム。
深い味わいの珈琲をゆっくり味わう。
今日の音楽はオーナー夫妻が好きな大貫妙子。
私も古いレコードを持っている。
暮れてくれば、そろそろ店仕舞い。
みんな心得ていて次々に引き上げていく。
樹々の先は寒い中でも、
春に向かってエネルギーを蓄えている。
振り返りながらゆっくりアプローチを下った。
2022年の冬は雪が多かった。
1月下旬のアプローチ。
高く雪が積もっても、春が隠れていた。
雪の多い2022年のその日、
オーナーは、「ここで13年になります」と言った。
それを聞いた時、
もっと前からあった気がしてならなかった。
風光舎には、四季折々の光景を見に行く。
勿論美味しいケニアとスイーツ。
時々豆も挽いてもらう。
今年も春と夏が終わり、
もうすぐ紅葉が来て次に白い世界がやってくる。
コーヒー焙煎 風光舎
〒020-0585 岩手県岩手郡雫石町長山堀切野8−7