盛岡食いしん爺日記
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今は空腹かな、それとも少しでいいかな?
どれだけ食べられるか分からない。
こういう時、回転鮨がいい。
無理なく好きなだけ食べて終われる。
回転鮨の盛岡津志田清次郎本店へ。
入口の上に魚が飾られているのは知っていた。
窓の飾りにもあるとは、気がつかなかった。
店をデザインする時、色々な事を考えるのだろう。
自分たちも本づくりの時、表紙や始めの見開きに知恵を絞る。
Billy Joel - Uptown Girl
疲れ気味ながらも色々と想いが巡る。
今日はまだ余裕があるのかな。
始めにスタッフがその日のお薦めや汁ものを説明。
あら汁がある日は迷わず頼む。
骨は厄介だが、身がたくさん入っていて嬉しくなる。
子どもの頃、
父と母が二人で魚をさばいた日は、
たいてい食卓にあら汁。
母が大ぶりの鍋をテーブルの真ん中にどんと置く。
肝心の刺身を圧倒する存在感。
中学生になっても骨に手を焼き、
顔をしかめていたに違いない。
ところが今は大好きだ。
正確に言うと清次郎のあら汁がいいのだ。
骨を除きながら「本日のおすすめ」と書かれたチラシを見る。
壁の黒板にも書いてある。
まず好きなイカ。
青森産「鮮スルメイカ」。
若い頃から下北半島を何度も訪れた。
一度泊まったことがある下風呂温泉。
確か津軽海峡と太平洋を望める。
その夜、漁火を見た。
窓からずっと眺めていた。
思い出しながら口にすると、
甘味のあるイカは一段と美味しい。
次は、千葉産の「鮮かつお」。
カツオは久し振りだ。
子どもの頃は、カツオとマグロの違いもよく分からなかった。
北海道産の「活蛸足の握り」。
盛岡の鮨店の名店「重兵衛」で、
北海道のみず蛸を食べた時、感激した事を思い出した。
しばらく行っていない。
この蛸も美味しい!
新鮮で噛むうちにほのかに甘味。
吸盤の食感もコリコリ。
頼んで正解!
自家製のガリ。
いつもたくさん食べてしまう。
酸味と甘味加減がいい具合のガリで口直し。
「市場で見つけた三味盛り」
マグロの切り落とし握り、蒸し海老、天然いなだの三貫。
日本の誇る鮨は奇麗だ。
そして当然のこと美味しい~
おや、「脱皮えび姿揚げ3尾」と書いてある。
赤い字で「おすすめ一品」。
これは気になり、頼まずにはいられない。
通りかかった店の人に聞いてみた。
脱皮したばかりの海老は殻まで柔らかく、とても美味しいと言う。
そうそう、どこかで聞いた事がある。
お礼を言ってタッチパネルに指を向けた。
本当はカウンターに「脱皮海老1枚」と言いたい。
するとコロナ前は「喜んで!」と威勢のいい返事。
今では懐かしい。
期待で頬が緩んでしまう。
海老の揚がった香ばしい香り~
一匹めはそのまま。
殻、尻尾までが想像以上に柔らかい!
身と一体となって食べられる感じ。
旨味も言うことなし。
次はレモンを絞る。
またよく合う。
あっという間に皿だけになった。
調べてみたら「ソフトシェルシュリンプ」と言うらしい。
県産からは「活帆立貝 ひも握り付き」。
ブランドの「重茂(おもえ)産の焼きうに軍艦」にも心惹かれたが、帆立にした。
感激の脱皮海老の余韻を打ち消す帆立の食感。
スーと歯が入り、気持ちいい~
噛むと、甘味を残しほぐれていく。
ひものコリコリもいい。
〆は自家製干瓢の巻物。
パリパリの真っ黒の海苔、鮨飯に包まれた干瓢。
巻物は昔から大好きだ。
隣の席から声が聞こえた「脱皮海老だって、何だろう?」
声に出して「美味しいですよ!」と伝えたかった。
想い出や謂れを知ったりして食べると、
いよいよ美味!
気がついたら皿が積み重なっていた。
さて、帰ってひと仕事できそうだ。