盛岡食いしん爺日記
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カレーと言えば、濃い飴色が今は普通。
子どもの頃の記憶は母や給食のカレー。
黄色っぽい印象がある。
ジャガイモなどの野菜に炒めた肉を煮ている鍋。
市販の固形のカレーを割って入れ、混ぜて溶かす。
みるみるうちに広がるカレーの香り。
東京のアパートで暮らしていた頃、
友達が来るとよく作ったカレーはもてなしの料理。
ある友人の家では、
彼のお母さんが両手で抱える大きな鍋をドンと置く。
その日は同級生が彼を入れて3人。
次に大きな電気釜。
テーブルに皿が3枚、スプーンが3個。
彼が言った。
「我が家は、わんこカレーだ、食べるぞ!」
事務所で仕事終わりにスタッフとそんなカレーの話。
「食べたなくりました~」という。
外はまだ明るいが6時近い。
机を片付け「カレー工房 チャルテン」に。
El Condor Pasa (If I Could) · Simon & Garfunkel
いたいたメダカ。
店先に水槽が置かれ、右に左に泳いでいる。
見ていると、もわもわとする暖気を忘れた。
陽が陰っても熱そうな青海波模様の舗道。
スタッフはチキン野菜カレー。
鶏肉が好きな人。
満面の笑みでカレーを頬張る。
私は、初めて食べる「温玉キーマ」。
水分を飛ばすキーマは挽肉や野菜の旨味が濃い。
チャルテンのスパイスはペルー産のブレンド。
辛さは選べる。
1番にした。
0番はチリペッパーだけらしいが、2種のスパイスが加わる。
南米のアンデス地方の黄色い唐辛子のアヒアマリージョ。
もう一つの赤いロコトも主にアンデス地方で作られている。
チャルテンのカレーは、辛さの底に旨味を感じる。
以前、一緒に来た時の事を思い出した。
会計して先に出たが出てこない。
外観の写真を撮ったり、葺出町を眺めていた。
しばらくして出てくると、
楽しい話を聞いてきたと言う。
店にある飾り物の話を聞いたら、
若い頃、オーナーは自転車の旅が好きで、何度もボリビアに行き走ったそうだ。
通算すると年単位で滞在していた事になるほど。
もっと聞きたかったと言っていた。
そんな話をすると、眼を見開いて「そうそう、凄い人だった~」
だからこの味なんだと頷き合った。
はやる心を押さえ、ゆっくり玉子の黄身をスプーンで突いた。
辛味と旨味をまろやかにする魔法の玉子。
食べ始めたら止まらない。
近頃は私にとってカレーと言えば、チャルテン。
涼し気な内輪を使うこともなく食べ終えた。
大満足だ。
登山用のロープだろうか。
きっと自転車に積んでいたのだろう。
食べ終わる頃には席が埋まっていた。
いつか、ゆっくりオーナーの話を聞いてみたい。
カレー工房CHALTEN
〒020-0871 岩手県盛岡市中ノ橋通1丁目8−1