盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意>
チョコレートは、子供の頃の憧れの一つだった。
シックな包み紙の中に銀紙。
板チョコを少しずつ割っては食べた。
筒に入ったマーブルチョコレートもあったなあ~
そんなことを想いながら、
3年ぶりぐらいでチョコレートの「クラフティ」へ。
Concerto in D minor after Alessandro Marcello, BWV 974: II. Adagio
· Glenn Gould · Johann Sebastian Bach
前は「お菓子の家・クラフティ」という洋菓子店だった。
オーナーは、釜石出身で、
あの東京のレストランキハチの洋菓子店「パティスリーキハチ」で修業。
その後、岩手に戻り、矢巾町に自分の店を開店。
7年後、盛岡市の津志田に移転。
2018年にはチョコレート専門店の「クラフティ」となった。
もともとチョコレート専門でやりたかったと聞いたことがある。
カカオの持つ深い味わいをとことん追いかけている。
世界の農園から厳選したカカオ豆を選別、焙煎して作る。
その日は、ボンボンショコラ6個入りを買ってきた。
一つひとつが個性があり、
甘さ感が少なめで、カカオの風味を楽しむ。
様々な飲み物にあうと思っている。
宝石の様でもあり、遠い星の一つにも見える。
だいぶ前にいただいたチョコレート菓子。
その一つがマロンガナッシュ。
まぶしてあるのは何だろう、と口に入れるときな粉だった。
アーモンドの味に混じってほんのり洋酒が香った。
美味しかった。
もう一つはシトロネット。
ホワイトチョコレートがレモンを包み、さらにチョコレート。
ヨーロッパの貴族が浮かんできそうな品のよい味。
後はテリーヌショコラ。
ナイフを入れると吸い付く様だ。
とても深い味わいを残して消えていった。
一本が大きなチョコレートに思えた。
子どもの頃に食べていたら、どう思っただろう。
しばらく見惚れていたに違いない。
今でも意を決しないと買えないが、
美味しい物は想像や想い出をかき立てる。
母が最期の頃は、ひと月近く、
ベッドの回りに吊るされた瓶からの栄養だった。
傍にいて口から入る美味しさを感じさせたいと思ったものだ。
逝ってしまって30年が過ぎた。
時々、高級なチョコレートを食べると、
母が割る板チョコの音が聞こえることがある。
いつか、最上級の板チョコ「ビーン トゥ バー」を食べてみたい。