盛岡食いしん爺日記
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盛岡の行列のできるそば屋「やまや」。
5時を過ぎたばかりなら空いているだろう。
Just Once (New Version) · James Ingram
テーブルについてメニューを見る。
まだ注文する前に続々とお客さん。
奥の小上がりにも。
ほぼ満席。
一人で来る男性が多い。
仕事帰りか、いやいや残業前かもしれない。
なんとなく感じるサラリーマンの緊張感。
迷うながらも色々注文した。
セルフの水。
宮沢賢治ゆかりの井戸の水だったと思う。
やまやの裏の方に賢治が下宿していた。
中津川に架かる下ノ橋にも擬宝珠がある。
盛岡城址も近い。
当時、対岸の肴町などでは岩手銀行などの建設が相次いだ。
今の赤レンガ館、啄木・賢治青春館など。
建物が空に向かって建って行くのを見ていただろう。
どんどん盛岡が発展していく時期だった。
チャグチャグ馬コが中津川で休憩し、
綺麗に装束の馬が水を飲むのも見ていたに違ない。
思春期の彼に色々影響があっただろうと宮沢家の人に聞いた事がある。
さあ、来た!
親子飯。
ミニ丼ぶりのご飯にとりそぼろ。
そして半熟玉子。
なんでもまろやかにする玉子の魔法。
とろろも頼んでいた。
なんか元気が出るような気がして。
えび天を一本。
プリプリの海老を塩で食べた。
季節のかき揚げ。
オクラにズッキーニと小海老。
いい感じの組合せ。
やまやでは挽ぐるみ、韃靼、さらしなと三種の蕎麦が食べられる。
隣の若い男性は三種をペロリ。
まだ何かを待っていた。
十年ぐらい前までは、私もそうだったなあ~
ほれぼれするほど綺麗な蕎麦だ。
食感、喉ごしともに最高!
あっちでも、こっちも音を立てて蕎麦を吸い込む音。
日本の音の一つだ。
ここは、美味しくて、その上リーズナブル。
もり一枚385円。
満腹の胃袋に蕎麦湯を一気に飲んだ。
また、つゆを蕎麦猪口に入れ、蕎麦湯のお代わり。
ふわっと立ち上がる鰹出汁の匂い。
学生時代、まだ東京で暮ら始めた頃。
ある蕎麦屋でざるそばを2枚食べた。
店の主人が取っ手のついた紅い容器をテーブルに置いていく。
「なんだろう、どうするのだろう?」
静かに辺りを見た。
すると丁度食べ終わった人がいて蕎麦猪口に注ぐ。
真似して飲んだ。
ちよっと大人になった気がした。
賢治の思春期じゃないが、いちいちドキドキ、ワクワクしたものだ。
時々思い出して「あの心」を忘れずにいよう。
盛岡市大沢川原1丁目
蕎麦喰い処 やまや
定休日 日曜、祝日ほかに年末年始なども。