盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意>
太陽の下では初夏の装いの盛岡。
気がつけば、早いもので6月も中旬、10日もすれば夏至。
半年の間何をしていたのだろう。
時の流れの早さは残りの人生の日々を奪っていく。
若い頃、そんな話は大袈裟だと思っていた。
今は焦るほどではないが、思うものは確かにある。
盛岡駅の西口の開発が始まった頃、
新しい街は、広大な砂漠のようだった。
マリオスという20階建てのビルだけが建っていた。
あの頃、少し仕事で36ヘクタールの開発に携わっていた。
平成10年頃の話。
当時は仲間達と10年後、20年後の街を想像し語り合っていた。
今、遠い未来を考えると複雑だ。
その夜、身体がたんぱく質を欲しがった。
復活したバドミントンも1年半。
腰や肩、膝の具合を見ながらも、少しずつ筋力もついてきた。
昔だったら1か月もあれば蘇ったが、10倍の時間がかかっている。
しょうが焼きやへ向かった。
Tommy Flanagan Trio_You Go to My Head
地下へ階段を下りる。
そこからオブジェを見上げる。
地下に下りると盛岡ではない、別の街にいる気がしてくる。
しょうが焼きやの中は、カウンター数席と奥にテーブル席。
「あら、いらっしゃい、今日はチキンとロースがないのよ~」
「そうですか、了解です」
「チキン、買って来ますか?」
「いえいえ、大丈夫です」
店主とそんな会話から始まった。
メニューに6月限定の「たっぷり新たまねぎのしょうが焼き定食」があった。
それで決まり。
始めに、どんぶりいっぱいのサラダ。
どんぶりが大きくなった気がする。
3品のお通し。
水菜などのごま和え。
一度、湯をとおしており、水菜が丁度いい。
サラダだと私にはシャキシャキ感が強すぎる。
美味しい。
トマトのおひたし。
これまた、ほどよい酸味。
子どもの頃、トマトが大好きだった。
丸ごと何個も食べた。
それが、大人になってあまり食べなくなった。
原因は不明。
このトマトは、ほどよい酸味。
久し振りにトマトが美味しいと思った。
ここでは、ひややっこに醤油を使わない。
それでも、しょうがの味がしていける。
ネギにいい仕事をさせているなあ~
野菜をたっぷり食べた後、しょうが焼きがテーブルに置かれる。
香りに食欲をそそられる。
たっぷりのたまねぎの下に隠れていた。
豚バラ肉のしょうが焼き。
たまねぎの甘味と豚肉の旨味が詰まった汁も美味しい。
たんぱく質を欲しがっていた身体が喜ぶ。
私は、一番豚バラ肉が好きなのかもしれない。
子どもの頃は豚バラの入った野菜炒めの皿に残った汁をご飯にかけたものだ。
学生時代にしょうが焼きを初めて食べた時、大感動。
自分でも作ったものだ。
たまねぎとの組み合わせとは、とてもいい。
ご飯がすすむ!
ここの味噌汁も美味しくて、しかもたっぷり。
その日、見つけた「デュカ」。
中東などのふりかけらしい。
ナッツ、クミンシード、コリアンダーなどが入っている。
サラダやお肉、ご飯にもと書いてあった。
このふりかけを、どばっとご飯に。
そこにしょうが焼きで残った汁をかけてみたり、味の変化を楽しんだ。
クミンシードは消化を助けたり、色々な効能があるらしい。
清涼感のある香り、ナッツの食感とご飯がすすむ。
サラダや肉にもかければよかったなぁ~
この店は、来る度に進化している。
日々色々と考えているのだろう。
調理は勿論、食べるお客さんも好きなんだろう。
色々な人との繋がりも大切にしているようだ。
テーブル席のカップルが帰り、カウンターには4人。
食べ終わるとコーヒーゼリー。
気がつくと客は私だけ。
そろそろ時間だ。
少し色々な話をして会計。
「ご馳走様でした、美味しかったです!」
「それは、よかった~」
いつもドアまで送ってくれる。
誰かのお宅でご馳走になった気分。
さて、この階段の向こうは、現実が待っている。
一歩一歩、脚に漲る力。
さて、もう少し軽く頑張ろう。
定食とほろ酔い しょうが焼きや
〒020-0024 岩手県盛岡市菜園2丁目5−20 B-C メルヘンハウス