盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意>
花巻市へ。
同級会の幹事会。
今年初めて会う顔ばかり。
場所は「まっさん」で貸し切り。
事務的な事はすぐ終わり、挨拶も早々に始まる宴会。
日本酒好きは、誰かが持ってきた「久保田」。
そろそろ終わりるらしいシドケを持ってきた人もいた。
名誉のある表彰の受賞者もいて花束を贈った。
Yesterday, When I Was Young (1994 Remaster) · Shirley Bassey
十人ちょっとの顔ぶれ。
銀行、テレビ局、公務員などサラリーマンだった同級生は、
もう自由な日々を楽しんでいる。
経営者や歯科医たちはまだ現役。
女子は2名。
幹事達は、ここ数年、時々顔を合わせてきた。
高校時代に話したことがなかった人とも話が弾む。
会社を子供達に引き継いだ同級生が話す。
「とにかく一人で、ふらっと旅に出るのが最高だ!」
秋田県から青森県の日本海沿いを走る五能線に乗ったそうだ。
津軽三味線の演奏もあり、一番前で聞いたという。
女子の一人が言った。
「奥さんは、なんて言うの?」
「行って来るぞ」との答えは「どうぞ」らしい。
「心の底から楽しいの?」
「最高だよ!」と笑う。
やわらかいわらびを食べながら話してみた。
学生から社会人となる。
40代にもなれば、責任を背負う。
仕事を成功に導き、社員や部下を守る。
そのために身体には鎧を纏い、顔には仮面を被る。
役職の階段を上り、抱える人数が増えるにつれ、
見えない防具は厚みを増す。
内側は疲弊しても気づかない。
ようやく組織から解き放たれると、
身体は身軽になっていく。
嫌な人とは会わなくても何とかなったりもする。
そして気がつくと、
子供の頃のように一人が居心地がよくなる。
勿論、皆がそうだとは限らない。
ただ、この中に彼と私の2人はいた。
元経営者は、日本酒をぐいと飲み肴を頬張りながら、時に遠くを見る。
鰹だ!
行者にんにくが鰹の旨味をひきだす。
美味しい~
思春期を共にした仲間。
ひと言で目の前が真っ暗になった時代。
それが今では、何を言われても無邪気に笑う。
ある人が言った。
「後は、楽しいと思うことだけをして暮らしたいね。」
ひとりの女子が週末は花巻駅に行くという。
SLを見るためだ。
イベントとして走っていたが、もう少しで走るのを終える。
テーブルの上にスマホを置いた。
動画で撮ったSL。
豆粒のようにしか見えない。
皆でじっと見ていると、しばらくして大きくなってきた。
もくもくと煙を吐き出し逞しく走る。
誰かが言った「少し編集したら?」
「そんなのできない、じっと見て待つのもいいんだから」
響く笑い声。
花巻産のプラチナポークの生姜焼き。
この肉の旨味と甘い脂味。
ひとり3枚ずつらしい。
肉を控えている人の分も食べた。
誰かが「もう我慢してもしかたないよ、食べたら?」
「それもそうだな」と素直に箸を持つ。
それも笑いの種になる。
〆の蕎麦が出てきた。
冷たい蕎麦だった。
喉もすっきりとしてそろそろ解散。
少し帯びていた熱がひいていく。
松茶アイスを食べて本締め。
濃厚な抹茶の味に童心に返った仲間は、
普段の顔に戻っていく。
「じゃあな」
「元気でね」
迎えが来る人、
連れ立って帰る女子、
次に場所を移す人、
残ってゆっくり飲み始める数人。
リアルタイムでSLを知る同級生は、それぞれに。
スマホを見せながら、
「週末に走る蒸気機関車をもう少し見てたいなあ~」
と言った女子の顔が心に残った。
「お食事とお酒 まっさん」
花巻市東宮野目第9地割3