盛岡食いしん爺日記
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西和賀の森
KATICA ILLÉNYI - Once Upon a Time in the West – Theremin
西和賀に来たのは、沢山の目的がある。
しかし、今日はとんぼ返り。
欲張らずに何度も来よう。
雪の深いこの地の春は、ゆっくり。
まず、見たかった山桜。
芽吹いたばかりの黄緑と淡い桜色。
そして「春紅葉」。
新緑の中で色づく樹々がある。
秋の紅葉と違い清々しい。
色づいた木を見つけた。
次はかたくりの花。
今年は少し早いと聞いていた。
安ヶ沢の森。
静まり返った森。
歩く人もまぱら。
少し遅れた様だ。
この春初めての水芭蕉。
青葉茂れる森に色々な花が咲く。
まだ咲いていたカタクリの花。
視線を下げてゆっくり歩く。
昨年に見た一面の薄紫は見られなかったが、
薄紫の森の妖精は、
待っていたかの様にあちこちで咲いていた。
昔はカタクリの根から手間暇かけて片栗粉をとった。
江戸時代、南部藩には片栗師という役職があった。
将軍に粉を献上していたそうだ。
手間暇と言えば、西和賀の「西わらび粉」もそうだ。
これを使って作る「西わらび餅」が町内の3店で作られている。
湯元温泉街にある「お菓子処 たかはし」へ。
奥さんの出迎え。
旦那さんも挨拶に顔を出してくれた。
老眼で眼鏡が離せないと言うが、逢う度に若返って見える。
里の桜は例年より早かったそうだが、
山の山菜などは近頃の陽気に踊らされることなく、
地中からゆっくり出てきているそうだ。
奥さんは「山は凄い」と言う。
もう何年前のことだろう。
旧盆の頃、温泉街で鬼剣舞を見た。
スマホで撮った写真をFacebookに載せた。
すると奥さんからコメント。
後ろで笛を吹いているのが私です。
息子が舞ってました。
温泉街でお菓子屋をやっています。
わらび餅をいつか食べてみて下さい。
そして、訪れた「お菓子処 たかはし」。
それから毎年来ている。
季節の様子を聞いたり、
お菓子の話を教えてもらったり、
盛岡のテレビ局で活躍するお嬢さんの話も。
毎年、買いに来るようになり、
錦秋湖畔のカフェ、閑静なゲストハウス、木工職人など、
魅力的な人が沢山いることを知った。
知り合いも多くなり、
この地にカタクリの様に根を張り出し、
もう一日、二日では回りきれない。
そして、訪れる度に発見があり、出会いがある。
西和賀への距離はどんどん近くなっている。
翌日冷蔵から出した「西わらび餅」。
ぷるんとしてほのかに甘い。
一つひとつゆっくり味わう。
もう一つ好きなのが「抹茶のフィナンシェ」。
店では売切れで、
錦秋湖の道の駅にはあるだろうと聞いて帰り道に寄った。
4個買ったら残りは1個だった。
抹茶の香りと風味。
私にとって西和賀の味の一つになっている。
また近いうちに訪れるだろう。
お菓子処たかはし
岩手県和賀郡西和賀町湯本温泉