盛岡食いしん爺日記

<音楽が流れます、音量に注意>

 

 

<老舗の味 直利庵>

 

 

 

ムーンリバー 「ティファニーで朝食を」

 

 

 

一昨年、三十数年という長い間があったものの、

また繋がった学生時代の友達がいる。

電話より手紙のやり取り。

先月届いた手紙には、

昨年に見た映画十数本と感想が書かれていた。

それぞれ数行に纏められ読み飽きない、ちょっとした映画評論。

彼は学生時代から映画や演劇をよく見に行っていた。

古いアパートに住んでいたが二部屋あった。

八畳間の方には畳一面に腰まで本が積み上げられていた。

今年こそ東京で会うつもり。

一緒に思い出の詰まった街を歩いてみたい。

 

 

今日、雫石の網張温泉「ありね山荘」へ行った。

 

 

網張スキー場のゲレンデはまだ白い。

 

 

遠くコブ斜面が見える。

今年はまだスキーを担いでいない。

 

 

 

 

のんびり湯に浸かっていると、

ある映画のシーンが浮かんだ。

「バベットの晩餐会」。

舞台は19世紀後半ユトランド半島の質素で禁欲的な暮らしの小さな漁村。

牧師の父の後を美しい姉妹が引継ぎ、村人も教えを守り暮らしていた。

そこにフランスからバベットという女性が現われ、家政婦として働く。

彼女は質素な食事に驚くが黙々と調理する。

ある時、彼女が大金を手にし、

牧師を偲ぶ晩餐会でフランス料理を作ることを願い出る。

当日、贅を尽くした品々がテーブルに並ぶ。

村人達は示し合わせていたとおり、

料理の話を避け、感情を押し殺していた。

ところが食べるうちに自然と顔がほころんでしまう。

パリで暮らしたことがある将軍も出席していた。

彼は、「この芸術的な味を出せるのは、ひとりしかいない。」と言う。

バベットは、パリの一流レストランの女性シェフだった。

という物語。

 

温泉から上がり、駐車場に戻ると陽が沈みかけていた。

 

 

 

 

気持ちよく腹が減り、老舗のそば屋「直利庵」に行こうと思った。

古いつきあいの人を誘うと二つ返事で待合せ。
 

 

 

 

直利庵は、創業明治十七年。

街の景観が変り、回りを高層の建物に囲まれても威風堂々。

百三十年以上を経ても美味しい物を食べて欲しいという心と老舗の味は変わらない。

直利庵のホームページによると、

蕎麦屋としての始まりは、

古文書では江戸時代の嘉永3年以前と言われ、

「かくか」という屋号を名乗り、後に「直利庵(なおりあん)」となる。

当時、八幡町で旦那衆が愛称として直利庵(ちょくりあん)と呼んでいた。

いつしか、その愛称が店の名前となった。

酒も出しており、華やかな盛岡芸妓の三味線の音が夜遅くまで響いていた。

 

歴史の上に胡坐をかくのではなく、常に進化、そして、深化。
どこまでもおそばにこだわります。

と記されていた。

 

 

 

 

頼んでいた高野豆腐の煮物がテーブルに置かれた。

しいたけと小海老、サヤエンドウがのる。

 

 

染込んだ伝統を受け継ぐ出汁。

噛むと口の中に一気に滲み出る。

高野豆腐の爽やかな甘みに感激した。

こんなに美味しいものだとは・・・

 

 

 

 

待合せた人は温かいとろろそば。

とろろは漆黒の海苔を纏って出てきた。

 

 

にんまりしている。

 

 

こちらはカツ丼。

 

 

 

 

 

 

飴色の玉ねぎに狐色のカツが艶々。

いい具合にとろりとした玉子と一つになって美味しい。

 

 

かっこんでしまう。

楽しみに残しておいたふ海苔の入ったそば。

気がつけば自分もニコリ。

今宵も話より食べる方に夢中。

「喫茶店に行きますか。」と微笑むので頷いた。

歩きながら「バベットの晩餐会」の話をした。

いがみ合う事が多くなっていた人々は美味しい料理で自然に微笑みを交わす。

映画の中で将軍が、「彼女は食事を恋愛に変える」と言った。

二人の笑い声が軽く響いて夜道に消えた。

帰ったら友人に手紙を書こう。

 

 

 

 

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