盛岡食いしん爺日記

<音楽が流れます、音量に注意してください。>

 

 

ここに初めて来たのはいつだったろう。

1階が「彩園子(さいえんす)というギャラリー。

その2階が喫茶「一茶寮」。

 

 

ひょっとしたら40年ぐらいは遡るかもしれない。

あの頃と変わらない佇まい。

年月の流れを忘れてしまいそうだ。

一足ごと軋む階段。

 

 

 

Billy Joel – Honesty

 

階段を上がると、静寂の世界。

 

 

ギャラリーがあるのでよくクリエーターが打合せしていたり、

話し込むカップルがいたり、ひとり本を読む人も。

 

 

かなり古い蔵で200年を超えると聞いたことがある。

やわらかな灯り、

高い天井を支える漆黒の梁。

音楽もない。

人の話し声や物音は、

長い歳月を経た太い梁、柱や板の壁に吸い込まれる。

 

 

 

 

ここには街の喧騒は届かない。

店主の足音が近づく。

美味しいスープのつく蒸しパンを食べようかと思ったが、

ランチをして間もない。

「ホット珈琲、ブレンド一つお願いします。」

「はい、お待ちください。」

たまに、この店の話を聞いたこともあるが、

たいていは短い会話で終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

7、8人は座れる長い木のテーブル、

2人で話し込むのにいい席、

数人の打合せに丁度良いテーブルもある。

よく考えられている配置だ。

 

 

 

 

「お待たせしました。」

珈琲が置かれた。

「ありがとうございます。」

 

ゆっくり珈琲を味わう。

 

 

昔々の事だが、

ここで逢うのが最後になった人もいる。

1時間ほど話して先に階段を下りて行った。

一段ごと身体が見えなくなっていく。

最後に背中まで届いていた長い髪が見え、

緩めのパーマの髪がふわっと浮いて消えた。

あの時、階段を駆け下り追いかけていたら・・・

でも、そうドラマの様に上手くいくはずもない。

 

最近、ある人に「このごろ『でも』」が多いよ」

と言われた。

確か「でも」は、

ある事柄などを肯定はするものの、

反対の内容を説明する時に使う。

まあ、弁解や否定、反論する時に多い。

せめて、

「怪我をしたが、それでも頑張って試合に出た。」

ぐらいにしておこう。

肯定しておいて違う方に導く様な使い方に気をつけよう。

 

一茶寮で誰かと話したり、本を読んだりするが、

どうでもいいことを思うのもいい場所だ。

私はこの空間で癒されているのだろう。

 

 

 

 

 

 

丁寧に淹れられた珈琲の最後のひと口を飲んだ。

ゆっくり立ち上がり、再び現実の世界に戻っていく。

「あ~ 請求書をまだ作ってない!」

足早に階段を下りた。

遅れた言い訳に「でも」もへったくれもないよなぁ~

もうすぐ4月が始まる。

 

 

盛岡市上ノ橋町

一茶寮

 

 

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