スケーターズ・ワルツ (フィラデルフィア管弦楽団)
<音楽が流れます、音量に注意>
津軽の日帰り旅。
弘前市の老舗和菓子屋「大阪屋」の次に寄ったのは葡瑠満(ぶるまん)。
場所は弘前城の東門近く。
道路向かいは堀。
久し振りだ。
葡瑠満の前に立つ。
盛岡から車を運転してきた疲れも忘れてしまう。
初めて来たのは、
一番町という違う場所にあった頃。
ここに移って10年以上は経つはずだ。
「6時までですが、よろしいですか?」とオーナー。
30分ほどある、十分だ。
数分後には、2組のお客さんが帰って独り占め。
壁に大倉陶園のカップとソーサーが幾段にも並ぶ。
見ているだけで楽しい。
そして、オーダーした後、
どれが出てくるのかとワクワクして待つ。
1年に1度のペースで訪れ、
たいてい「ういんな可否」を味わう。
しばらくして少し大人の雰囲気の大倉陶園でやってきた。
珈琲の香り。
甘さ控えめのクリーム。
喉に残る心地良い苦味。
いつも上質なお菓子の様だと思う。
ゆっくり味わっているつもりが、
気がつけば空になっている。
私にとって特別な一杯だが、
一度だけお代わりした事がある。
杏子のワイン煮がのるチーズケーキ。
コクがあり、滑らかなレアチーズケーキ。
完成された味だと思う。
フォークを持つと2、3分でなくなった。
今日こそはゆっくり味わうつもりだったのに。
6時前に席を立つと、
「まだ大丈夫ですよ」と微笑むオーナー。
少し話が出来た。
弘前で葡瑠満を始め、もう四十三年。
場所は3度変わったそうだ。
出来る限り移築し、
前の店の雰囲気を残している。
横たわるヒバの一枚板に歴史が刻まれている。
ここでの写真撮影は緊張する。
オーナーはプロの写真家でもある。
いつも思う様に撮れない。(笑)
少しだったが、
葡瑠満の珈琲の様に味わい深い話が聴けた。
いつか大倉陶園のカップを手に入れたい。
スペシャルな一杯の珈琲は、
妥協のない丁寧な仕事から生まれる。
オーナーに挨拶して夕暮れの堀沿いを少し歩いた。
今日の「ういんな可否」は、ワルツが似合うと思った。