Enya - May It Be
<音楽が流れます、音量に注意>
5月22日、日曜の「盛岡食いしん爺日記」
朝から雨。
窓から見える灰色の空。
盛岡の街の樹々は勢いを増し、緑色が濃くなってきた。
ふと、浮かんだ2週間前の西和賀の萌黄色。
今頃はどうだろう。
今日はOFF。
ゆっくり車のキーに手が伸びる。
盛岡の街から西へ走り、繋温泉を抜ける。
雫石の鶯宿温泉の手前から県道1号線。
山伏トンネルを抜けると、そこは西和賀。
盆地を奥羽山脈に沿う様に南下する。
沢内から湯田へ。
ここ3年、よく走る道になった。
ほっとゆだ駅の近く、錦秋湖を望む「ネビラキカフェ」。
大好きなアプローチ。
おっと、まずは店に入ってオーダー。
「あいにく、まだ小雨で」と若きオーナーの瀬川さん。
いやいや、それもいいのです。
水の入ったグラスを受け取り、テラスへ。
一歩一歩、進むごとに広がる視界。
カウンター席に座る。
向こうは錦秋湖だ。
思わず呼吸が深くなる。
時折雨粒が落ちてくるが、空は少し明るみを帯びてきた。
上を見上げなくても湖面を見ていれば分かる。
その日、錦秋湖はいっそう静かに見えた。
奥さんがソーセージとベーグルを運んで来た。
4種類を説明してくれる。
「ワラビ、コシアブラ、エシャロットに行者ニンニクのソーセージなんです。」
食べ終わったら忘れそうだと思ったが、一本ずつ風味がはっきり違う。
盛岡に帰っても記憶に残るだろう。
美味しい!
西和賀で肉加工仕事をしている達人の手によるソーセージだった。
素材は形を変えて活きていた。
地元のゲストハウス「カタスミ」で作られベーグル。
南部小麦を使ったバスク風チーズケーキ。
これがまたいい。
心地良いチーズの風味。
気がつけばなくなっている。
おや?足元にひょっとして大根の花?
花は珍しい。
咲く前に収穫されてしまう。
そうしないと、根の中に空洞が出来てしまうらしい。
春に咲く花だ。
花言葉を調べてみた。
大根がどんな料理にもあうので「適応力」。
そして、白や薄紫の花は「潔白」。
春の七草の「スズシロ」は大根だそうだ。
昨年、オーナーは大根の栽培にも挑戦した。
今年は、どうなんだろう。
冬から暖かい風が吹き始める頃、
雪は樹々の根元から溶け、一本ごと輪になる。
それを「ネビラキ」と言う。
西和賀の大自然に適応し、色んな事に挑戦するオーナー夫妻。
その心に秘めた想いが花となり、
夢を一歩一歩、結実させている。
これからも目を離せない。
静かに心で色々な事を想う。
なんだか自分もいい人になった様な気分。
湖を眺めながら飲むネビラキの珈琲。
喉ごしもよく美味しい。
オーナーが丁寧に淹れている。
ゆったりと流れる時間を楽しんだ。
立ち上がってもう一度湖を眺めた。
何度来ても違う景色。
これで、夜まで穏やかに過ごせそうな気がした。
今日も心惹かれた西和賀。
nebiraki cafe
029-5512 岩手県和賀郡西和賀町川尻40-57-8