Gal Costa – Wave
<音楽が流れます、音量に注意>
気がつけば、もう今年も6月、半年が過ぎた。
5月中旬のある日、
午後からバドミントンの練習に行った。
復活して4か月、少しは身体が戻ってきた。
体育館に上がる階段を挟んで白いツツジが咲いていた。
帰りにゆっくり見よう。
練習が終わり階段を下りると一歩ごと膝や腰が軋む。
下から花壇を見た。
やや傾いた陽射しを受けて落ち着いたオフホワイト。
見ていたら、ウエディングドレスが浮かんできた。
ここ数年近く、結婚式に出席した事がない。
コロナのせいもあるが、今の結婚式は内輪で挙げたり、
新郎新婦と家族が旅先で祝ったりと聞く。
バブルの頃の披露宴は盛会だった。
特に6月ともなれば、毎週の様に礼服を着た。
新婦は、着物からドレスへと何度もお色直し。
次から次へと出し物が続いたものだ。
白の世界で蜂の羽音は途絶えない。
凄い集中力と体力だ。
陽が落ちる前に、出来るだけ蜜を集めるのだろう。
風もなく、いい香りが漂っている。
その日、遠くの方からお菓子が届いた。
マルセイバターサンドで知られた「六花亭」の「ひとつ鍋」。
このお菓子「ひとつ鍋」は、
十勝開拓の頃に詠まれた、「開墾のはじめは豚とひとつ鍋」に由来する。
鍋をかたどった最中に小さな餅が入っていた。
小倉餡、こし餡、白餡の三種。
最中の皮はサクサク。
そして、餡子が美味しい。
流石に小豆で有名な十勝。
六花亭の北海道の開拓の歴史を伝えるお菓子。
北海道は函館、札幌、小樽の辺りにしか行ったことがない。
ひとつ鍋を食べていると、十勝に行ってみたくなる。
翌日、冬に会ったきりの人から電話があった。
「あの報告があります・・・」
だいたい想像がつく。
電話の後、仕事の手を休め、少しだけ長く息を吐いた。
父親の心境に近い感覚。
これからは気軽に誘えないなあ~
なんて思っていたらくしゃみが3回。
何かちょっとしたお祝いを考えておこう。
そうだ、「ひとつ鍋」にしよう。
美味しい餡子に包まれたふたつの餅。
いいかもしれない、
「これから一緒に新たな人生を2人で開拓してください。」
と、ひと言添えて。
白のツツジの花言葉は、たしか「初恋」。