Dream - The Pied Pipers & Ernie Felice Quartet
<音楽が流れます、音量に注意>
盛岡市の官庁街の近く。
岩手県庁の辺りから本町通に抜ける道。
「大手先」と呼ばれている。
本町通に突き当たる近くに喫茶「ママ」がある。
昔、この辺りに映画館もあり、賑わっていた。
今は近くにあった岩手医大の附属病院も移転。
ちょっと淋しくなったものの、まだ料亭やレストランなども元気だ。
今日は晴れたと思えば雪が降ったり、定まらない空模様。
3月にもなれば冬将軍も力なく、風は少し柔らかい。
久し振りの「喫茶 MAMA(ママ)」。
まだカウンターには座れない。
そこに座る自分を想像してみる。
散歩してひと休みに立ち寄る。
傍らにステッキを立てかけ、軽く咳払い一つ。
珈琲が置かれ、ママと世間話。
しばらくして「今日も美味しかった。」
と席を立つ。
髪は真っ白になっている。
その頃には穏やかな顔つきになっていたい。
ママと話していたら、今年の11月で90年だと言う。
ついこの間、85周年だった。
時間の流れの速さ。
妄想の時も近い。
身体にいい飲み物があった。
完全オーガニックのグリーンスムージー。
大麦と小麦若葉、ケール、カラスムギ、ホウレン草にパセリ。
全て有機栽培。
リンゴ、木いちごにラカンカまで。
ひと口飲むと爽やかだ。
しかし、進むにつれ、ちょっと手ごわい。
「どうですか?」と微笑むママ。
「なかなかのものですね、でも元気になりそうです。」
床にはビー玉。
90年間の数多くの物語が埋め込まれているようだ。
盛岡には小さな宝石の様に輝く、
個性的で魅力的な喫茶店が多いと思う。
珈琲好きが多く、喫茶店という空間も好きなのだろう。
スムージーの後、珈琲を頼んだ。
新宿には数え切れないほど喫茶店があった。
友達と珈琲一杯で、灰皿は山に。
学生時代、時間は永遠だと思っていた気がする。
南新宿のはずれ。
危うい記憶だがライフと言う喫茶店があった。
半袖のTシャツだったから夏だ。
だいぶ呑んだ帰り道、珈琲を飲む事になりライフに。
しばらくして、その人は帰る電車がないと言う。
その頃、新宿から歩いて20分ほどのアパート暮らし。
店を出て6畳一間に向かって歩き出した。
駅の地下道を西へ。
向こうから千鳥足の乱れた靴音が揺れながら歩いて来る。
肩を並べていた人が、剥き出しの腕にすがってきた。
何事もなくすれ違っても両腕を離さなかった。
仕事が終わった帰り道。
盛岡駅の南を通った。
新幹線が開通し40年。
その半分の20年間、盛岡がターミナル。
一気に駅の界隈は変わっていったが昔のままの店もある。
そろそろ始まる北帰行。
白鳥の鳴き声が聞こえそうな気がして、夜空を見上げてしまう帰り道。