L'appuntamento, Ornella Vanoni
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昨年の年末近く、雫石の鶯宿温泉の帰りのこと。
雫石の街を通るたび、気になっていた店、「シモネッタ」。
不思議な名前だと思っていた。
もう2年近く、何度も通り過ぎていた。
その日、温泉好きの人と一緒だった。
入ってみることにした。
彼が言う、「普通の家のみたいだね」。
初めての店は、ちょっとした覚悟がいる。
あの日は温泉好きの道連れがいて、それにFacebookの記事も見いていた。
迷わずドアを開ける。
カウンターの上の壁一面に絵皿。
二人揃って「へぇ~!」
オーナーが一人でやっているようだ。
本日のメニューを見る。
私は、「蟹のほぐし身と白菜、きのこクリームソース タリアテッレ(きし麺状パスタ)」
お~!
雪のようにどんどん積もる。
平麺にソースがよく絡みチーズがきいている。
美味しい。
チーズが苦手の人のため、好みを聞いてからふりかけると言う。
また「へぇ~」
彼は、
「丸ごと1本、骨付鶏ももコンフィを添えたいろいろきのこ和え、リングイネ(ちょっと平麵)」
丸ごと一本にレモンの汁をかけると豪快に食べだした。
オーナーは、とても気さくな人で、色々と話してくれる。
ひとりなので混むと時間がかかるらしい。
オープンは2018年。
雫石にゆっくり食事を楽しめる場所を作りたかったと言う。
県外に出てからのUターンだそうだ。
季節の食材や地元の野菜にこだわり、
色々な新しいメニューにも挑戦している。
ランチ時間は地元の人で賑わうらしい。
前の店をリノベーション。
外装にまで、手をかけられなかったらしい。
美味しい珈琲を飲みながらオーナーと話し、和やかな時間が過ぎた。
盛岡への帰り道、
助手席で彼は、スマホを見ていた。
そして「シモネッタ」について語り出した。
聞いたこともないカタカナばかり。
何度も聞き返した。
イタリアの名画「ヴィーナスの誕生」のヴィーナスのモデルの名前で、
「シモネッタ・カッタネオ・ヴェスプッチ」だと言う。
店の外装を気にしないし、チーズの気遣い、絵皿やメニューの名前。
どうも、オーナーは、ひょうひょうとしているが、ただ者ではないようだ。
「シモネッタは、当時フィレンツェで一番の美女だったらしい」と彼が言う。
思わず顔を見合わせ三度目の「へえ~」
パスタの店 シモネッタ
020-0537 雫石町上町西90