Golden Earrings - Old Gypsy Song Sergei Trofanov
<音楽が流れます、音量に注意>
先日、街を歩いた。
盛岡のアーケード街「ホットライン肴町」に行ってみた。
暮らしに必要な物がほぼ揃う。
昔からの商店街にアーケードがつき、雪を気にせず買い物できる。
葛巻町の「森のそば屋」の近くにある「みち草の驛」の出店があった。
そういえば、昨年、葛巻のクラフト市を訪れた時、森のそば屋に行った。
森のそば屋にあった新聞の切り抜きを読んだ。
地域に暮らす人が自分達の力で、
平成の初期に地元の皆が力をあわせ、
古民家をリノベーションして「もりのそば屋」を開店。
数年後には農産物の直売所兼農村レストラン「みち草の驛」も開店した。
記事を読んで、お母さんたちの凄さを感じた。
水車で挽いた手打ち蕎麦は格別だった。
葛巻から、肴町にも出店していた。
あの雪深く冷える地域の人達の行動力は凄い。
「串もち」を買って帰った。
夜になって、串もちと、
ある人からいただいた手作りのシュークリームを食べてみた。
少し温めると味噌の匂いがぷ~んと。
丁度よい歯応えの串もち。
次は手づくりのシュークリーム。
中のカスタードがほどよい甘さ。
二つの手作りの優しい味を楽しんだ。
長い冬の夜のひと時。
カーテンを少し開けると街灯に映る斜めの雪。
ふと、ある話を思い出した。
2年ほど前の冬、
丘の上にあり樹々に囲まれた「きじやまカフェ」でのこと。
珈琲を飲んでいると、
初めての客が入って来た。
少し雑談をした後、奥さんが尋ねた。
「どちらからいらしたんですか?」
「今は、この近くですが、もともとは葛巻町の出身です。」
続けて奥さんは聞く、
「葛巻は雪が多いんですか?」
「今は、さして、でも昔は・・・」と語り出した。
その人が小学生の頃、バスに5キロ、徒歩で4キロの通学。
冬の修業式、その日は朝から吹雪。
先生から早く帰りなさいと言われ、
通信簿を受け取りに来ていた母と一緒にバスに乗った。
停留所から真っ白な世界を歩いた。
あまりの猛吹雪に心配した父が迎えに来た。
小学生のKさんは、父親の長靴の黒いかかとだけを見つめて後に続く。
「父は、雪をならして歩きやすいようにしてくれました。」
しかし、長靴も見えなくなるほどの猛吹雪。
両親に挟まれて歩いたが、なかなか家に着かない。
だんだん雪も鉛色に見えて来た。
「家の灯りが見えるはずだ」と父は言い、黙々と雪をかく。
それでも何も見えない。
「あ~ こうして死ぬのかもしれない」と想った。
その時、やっと微かに見えた灯り。
「バス停から普段の倍以上の4時間もかかっていました。」
本を開くように蘇った思い出に浸る夜。
珈琲を飲みながら、あの人はどうしているだろうと思った。
少しストーブの温度を上げた。
明日は積もりそうだ。