盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意>
支那めん処の「はすの屋」は、
昨年の暮れから大混雑、雪の日も行列。
テレビでタレントが美味しいと言ったことが始まりらしい。
並ぶ人が途切れない。
あれから3か月近い。
ようやく店の前に並ぶ人を見かけなくなった。
そろそろ行ってみよう。
濃紺の大きな暖簾が営業している目印。
店の戸は二重になっている。
一枚目を開ける。
まだ油断できない。
次の引戸をおそるおそる開けた。
Monica Ramey & the Beegie Adair Trio featuring George Tidwell - Why Try To Change Me Now
ちょうど奥の席が空いていた。
女将さんに挨拶して座った。
「お久しぶりですね~」
「今日は肉麺で」と言うと、
「すいません、券売機になったんです」
あら、そういうことか。
立ち上がってチケットを買った。
1時半を過ぎていた。
席が空き出した。
「真ん中へどうぞ」と言われ移った。
食べ終えた人が出て行くと、すれ違いにまたお客さん。
合間を縫って女将さんが話す。
「大変でした~」
仕込みや店の消毒もあり、連日12時間以上も働きづめ。
それでも、いつか行列の終わりが来る、と思って働いたそうだ。
心がけたのは手を抜かないことだときっぱり。
「ご飯は、どうします?」
「もちろん」と頷いた。
肉麺とサービスのご飯。
始めにスープ。
美味しい~
箸で割れるほど柔らかでマイルドな味のチャーシュー。
今日も変わらない。
「肉屋さんがいやがってるかもしれない」と前に話していた。
それほど徹底して味を守っている。
深い味わいの透きとおったスープ。
「どうですか?」
「う~ん、麺が前より、つるつるして美味しい気がする」
「あら、そうですか!」
女将さんの髪型が変わっていた。
疲れ切っているかと思ったら、いい笑顔。
若返ったように見える。
「ワンちゃん元気ですか?」と尋ねると、
雨の日や雪の上を嫌がるようになり、
そんな日は散歩できなかったが、ようやく歩道の雪も溶けて散歩を再開。
また入って来るお客さん。
前と違って若い人が多い。
女将さんは、二十代ぐらいの人とも話している。
旦那さんと二人三脚で築き上げた味。
全国から取り寄せた煮干しをカウンターに並べては試した。
軌道にのったと思ったら、旦那さんは逝ってしまった。
しばらく店を閉めていたが、二人の味を再開した。
この大混雑を空から見て喜んでいたに違いない。
「今日も完食です」
「あら、嬉しいです」
久し振りの支那麺。
外に出ると「冷たい支那麺」の旗。
確か年中食べられるはず。
入れ替わるように若い二人連れが入って行った。
テレビなどの取材は受けない「はすの屋」。
人気のタレントさんが食べて美味しかったと言ったことからの騒動。
ある人に行ってきた様子を電話した。
すると、「若い人たちはこってり系、濃厚なラーメンが好きなんだと思ってた」
なるほど、二十代でもほっとする味を食べたくなるのかもしれない。
めん処 はすの屋
〒020-0885 岩手県盛岡市紺屋町2−20