Blossom Dearie -- Tea For Two
<音楽が流れます、音量に注意>
北国の冬はモノクローム。
フロントから見える世界は、音が雪に消える。
雪道を走り、網張の温泉で雪見風呂。
温もった身体で、盛岡へ帰った。
近頃の年末年始は、静かだ。
子供の頃、祖父母の家に行っては、いとこ達と遊んだ。
お年玉も育つにつれて額が上がる。
しかし、給料を貰うと、お年玉を渡す側になり、
組織からの卒業が近づく頃には、だんだん静かになる。
今では暇を持て余すと言う事はないが、想いを巡らす時間が多くなった。
街が近づくにつれ、なんだか無性に肉が恋しい。
盛岡の上田の「むら八」に電話した。
立て込んでいるようだったが、テイクアウトは大丈夫だった。
1時間半ほどして取りに行くと、多くの人。
とても便利な世の中だ。
持ち帰って開けると、まだ十分に温かい。
ビーフシチューは、琥珀色に輝き、
コクのあるデミグラスソースに包まれ、幾つも牛肉が入っていた。
箸で容易に割れる。
美味しい。
カツサンドも買った。
人気のカツがキャベツとソースに挟まれている。
肉の旨味とキャベツとパン。
噛む事が嬉しくなる。
忙しくても手を抜かない、
老舗の作り手の思いが美味しさとなって滲み出てくる気がした。
温泉から帰って、たっぷり肉を食べると満ち足りてきた。
しばらくして珈琲を飲みながら、
年賀状の返事を書こうかと思った。
温泉で癒され、肉でエネルギー充電。
やる気満々。
筆ペンの太い方で住所を書き、反対の細い方で、新春の思いを書き始めた。
挨拶まではよかったが、言葉が漢字にならない。
送り仮名が怪しい。
翌日、昼近くに電話をかけた。
「もしもし、ご無沙汰しています。今年もよろしくお願いします!」
しばらく近況を話してスマホを置いた。
昨年、貰ったサンタと雪だるまの起き上がりこぼし。
パソコンに載せて写真を撮った。
トリミングしてみたら雪の上。
マスクの上に置いてみたら、いい感じになった。
先日、黒澤明監督の映画の制作風景のテレビを見た。
とんでもなく周到な準備で、徹底的にリハーサル。
セットの石垣をスタッフ総出で古臭く汚していた。
「妥協」を許さず、企画は壁にぶつかっても諦めない。
やはり、年賀状は、手書きにしよう。
数行でも書くと相手の顔が浮かび、
自分の思いを整理し、今年の抱負など色々と書く。
パソコンに頼り、脳細胞のどこかが壊れかかっている気がした。
少し手書きを意識した方が良さそうだ。
でも、ちょっとは妥協し、七転び五起きぐらいを目標にしよう。
そんな程度の三が日。
むら八上田店
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