Kenny G – Alone
<音楽が流れます、音量に注意>
盛岡の近郊に出かけた帰り道。
何となく知らない道を走ってみたくなった。
横道に入った。
なだらかな丘の上に「柿花火」
冬の早い夕暮れ。
傾いた陽射しに柿の朱が映える。
更に丘を幾つか越えた。
するとまた鈴なりの柿。
このまま走ると山の方へ入ってしまいそうだ。
暮れかけている。
Uターン。
すると空に飛行機雲。
短い飛行機雲が朱に染まる。
しばらく見ていた。
時々、湧き上がる。
初めての道をどこまでも走りたくなる衝動。
突き詰めて考えもせず、街へ帰った。
時刻は5時を過ぎたばかり。
ランチが早かったせいか、空腹感。
ややこしくない打合せが1件ある。
「食べながら、相談しましょう。」とメール。
待ち合わせは、盛岡の老舗蕎麦屋「直利庵」にした。
5時30分には直利庵に入った。
まず「茄子のなんばん炒め」を頼みスマホで資料を向かいに送った。
その方が話が早い。
思えば近頃、アクリル板ごしの話し合いにも慣れた。
その分、身振り手振りも増えた気がする。
お互い画面を見ながら確認。
その方は、「なめこそば」
小粒のなめことおろしに、海苔が舞い散ったように。
なめこ好きなので、満足そうに微笑んでいる。
こっちは壁の貼り紙で見つけた「牡蠣そば」
直利庵の冬の風物詩、
先日食べて感激した「たちこそば」と「牡蠣そば」
もう一つの楽しみが始まった。
今年はいつもより遅い気がする。
女将さんの話だと、
今のところは、まだ小ぶりだと言う。
いやいや、十分な食べ応え。
香り立つ柚子、たっぷりのワカメ。
器に広がる三陸の海。
臭みのない牡蠣。
汁も透きとおったまま。
ひと口で食べる。
弾力の後にミルキーな牡蠣。
美味しい。
「たちこそば」もそうだが、
旬の魚介のいいとこどりだ。
昨年、あまり牡蠣を食べない人が挑戦したら、
「とても美味しい!」と完食。
老舗の技は、旬の食材を更に美味しくしてくれる。
こういう時、牡蠣を育てた人、
調理する人などに「ありがとう」と言いたくなる。
じっと向かいで見ていた方が、
「明日にでも、かきそばを食べに来ようかな~」と呟いた。
仕事の方は、直ぐに意見が一致。
美味しい物と上手になった身振り手振りで早く決まった。
明日には完成の見込み。
そば湯を飲みながら、
「今日、柿花火が、柔らかな夕陽に映えて綺麗でした。」
と言うと、「かきづくしじゃないですか!」
2人で少し冬の街を歩いて帰ることにした。