盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意>
北国の街、盛岡は今、とても賑やかだ。
ニューヨークタイムスの52選の話があちこちで。
記事を書いた方が行ったナガサワコーヒーさん。
新聞などで語っていた様だ。
「盛岡にはたくさんの珈琲店があり、訪れて欲しい」と。
「盛岡は、暮らす人が楽しむ街。」
「特段の観光地ではない。」
「俄かに外国語の看板などが乱立しない事を願っている。」
などと語る人達もいた。
とにかく賑やかだ。
ある女性とそばを食べに行くことになった。
その人は老舗「直利庵」のファン。
彼女の「そばを食べに」はイコール「直利庵に行こう」ということ。
勿論、快諾。
「牡蠣そば」を思い浮かべた途端、柚子が香る。
Mal Waldron Trio - You and the Night and the Music
<音楽が流れます、音量に注意>
直利庵では、まだわんこそばを再開していない。
今、盛岡で食べられるのは東家と初駒だろう。
などと「そば話」をしながら暖簾を潜った。
店の中は相変わらず落ち着いた雰囲気。
お客さんは、それぞれ好きなそばを食べている。
そば好きの人は舞茸そば。
私も味を知っている。
いい具合のこりこりの食感。
汁に浸み込んだ舞茸の風味。
「では、お先します」と嬉しそうな顔。
「どうぞどうぞ」とこっちも微笑んでしまう。
きたきた!
直利庵の冬の風物詩「牡蠣そば」。
そばを覆うワカメ。
その上に見事な牡蠣が並ぶ。
2月の自分へのご褒美にしよう。
隣のテーブルの2人が会計に立ち上がった。
上から視線を感じた。
密やかな会話「あら、牡蠣だわ」
なんだか、ちょっとそばツウになった気分。(笑)
湯気にのって立ち上がる柚子の香り。
鼻から吸い込んで顔を横に振りたくなる~
ふっくらとして牡蠣のいいところだけを凝縮。
ワカメと牡蠣の風味を楽しむ。
老舗の技が作り出す品のよい味。
とても美味しい~
この器に入るまでに、それは丁寧に手間をかけたことだろう。
素材を育む人、それを調理する作り手に感謝したくなる。
先に食べ終わった向かいからの視線。
ちょうど女将さんが来た。
「すごく美味しいです」と言うと、
そば好きの人は「たちこそばは、やってないのですか?」と聞く。
いつもの様に笑顔で女将さんが話してくれた。
今年は、たちこ(たらぎく)が早く牡蠣が遅かったそうだ。
この冬は「たちこそば」が早く終わりそうで、
今は予約制にしたそうだ。
仕入れの具合も年によって違うのだ。
そして、やはり主役はそば。
つゆを絡めて喉越しがいい。
そもそも品がいいそば。
「そばが大事!」と意見が一致。
忙しいなか女将さんに送られて直利庵を後に。
別れ際、彼女が言う。
「こんど、電話してたちこそばを食べに来ない?」
間髪を入れず、「はい!」と答えた。
北国の街、盛岡は寒いが冬だけの美味しい物もある。
温まって帰り道はほっこり。
直利庵の傍の高いビル。
それでも威風堂々。
盛岡は新旧が織りなす「不思議の街」なんだと思った帰り道。
直利庵(ちょくりあん)
- 〒020-0871 岩手県盛岡市中ノ橋通1-12-13