Kommt, ihr Töchter, helft mir klagen Helmut Rilling;Bach Collegium Stuttgart;Gächinger Kantorei Stuttgart
<音楽が流れます、音量に注意>
雲間に隠れてばかりで、
今年の中秋の名月を見逃した。
最近になって中秋の名月が満月とは限らない事を知った。
十五夜の前日、見事な月を見た。
子どもの頃は、縁側に飾られたススキと果物と団子。
真面目な顔で、母が丸く大きな月を見上げていた。
旧暦では7月を初秋、8月は仲秋、9月が晩秋。
その年の秋の真ん中の日が中秋なんだと祖母から聞いた。
ススキは、厄除けの意味があり、実る稲穂の代わりでもあったらしい。
殆ど忘れかけていた「十五夜お月様・・・」と童謡の一節が浮かんだ。
しかし、社会人になってからは、そんな光景を見た記憶がない。
ただ、団子やおはぎは何度か食べた。
七草の風習も似たようなものだ。
子供ながら、五感で時節を楽しんで育った。
事務所に戻ると家主さんからのメモとプラスチックのタッパー。
ある人からの「おはぎ」が届いていた。
小振りで食べやすい。
しっとりとしたもち米を厚く包む餡子。
ほどよい甘さ。
すぐに2個目を頬張った。
食べ終わって緑茶を飲みながら、作り手に感謝のメール。
写真を添えた。
「8月の写真ですが、高原のススキです。」
「美味しくてすぐ、食べてしまいました。」
「そして、今年の自分の中秋の名月です。どうもありがとうございました。」
「秋の深まりを感じました。」
その後、近くのコンビニに出かけた。
買物をすまし戻る途中、路地の駐車場に一匹の猫。
満月に誘われたのだろうか?
音もなくブロック塀に飛び乗り、一瞬の影を残して何処かへ消えた。
小さな命は危うくも逞しい。