Only Time エンヤ
<音楽が流れます、音量に注意>
雫石の網張の麓から、西へ走る。
鳥越の滝、滝ノ上温泉の辺りは、漲る地球のパワーを感じる。
さらに奥へ。
葛根田川を遡る。
しばらく行くと谷間に忽然と現れる地熱発電所。
オレンジの灯りに照らされた金属の曲線と直線。
至る所から白煙が立ち昇る。
立ち入り禁止のゲートまで、ゆっくりと進む。
初めての人を乗せてくるとたいてい声をあげる。
「お~!」
「ジブリの世界みたい!」
地熱のパワーが白煙となって吹き上がる。
地学的な事はさっぱりだが、
細く長い金属の管を地中深く深く、差し込んで、
少しだけ、マグマのエネルギーをいただくという
風に思っている。
秘かに得体の知れない乗り物でも造っているように見えたり。
見ていると湧き上がる妄想。
この光景にはオレンジの灯りがよく似合う。
何度来ても息を飲んだり、眼を丸くしたり。
感激の後の帰り道は、不思議に心穏やかになり、
景色が違って見えたりもする。
ナナカマドも綺麗な実をつけていた。
網張の麓に戻り、雫石の街へ向かう。
ヤマボウシの街道に何やら不思議な実。
車を停めた。
近寄ると紅い実にブツブツ。
丸いイチゴみたいだ。
可憐な花からは想像しがたい実の姿。
「これは食べられないだろう。」
といつもなら決めつけるが、今日はスマホで調べた。
「果肉には小さな種がたくさん。例えるとマンゴーやバナナ、あけびの味に似ている。生でもよし、ジャムにも。」とある。
「食べられる事を知られていない。ビタミンやカロチン、アントシアニンなどを含み、滋養強壮や疲労回復などの効能があるといわれている。」
乾燥させると、下痢や腹痛にも効くらしい。
驚いた。
見た目では、分からないもの。
暮らす人達は、みんな庭や道端を綺麗にしている。
キバナコスモスも。
心が豊かになった気がする盛岡への帰り道。
気がつけばペコペコ。
さらしな、挽ぐるみ、韃靼の三種が一度に食べられる、
老舗の蕎麦喰い処「やまや」へ。
「さらしな」を頼んだが、
「さらしなで、つけ鴨そばに変えられますか?」
「はい、大丈夫ですよ!」
品の良いさらしなで、つけ鴨。
たっぷりの汁につけると、見事にそばに絡む。
ネギも甘く美味しい。
控えめな貼り紙に気がついて追加。
キスと獅子唐は、いい組み合わせ。
葛根田の地熱発電、ヤマボウシの実。
つけ鴨そばとキスと獅子唐の天ぷら。
「ワクワク」と「美味しい」で満ち足りた。
午後に思い立ち、ちよっと出かけただけなのに、
人生がちょっと豊かになった気がする。
盛岡はいい処だとつくづく。