The Alan Parsons Project - Don't Let It Show
<音楽が流れます、音量に注意>
8月になって怪しい空の日が続いた。
今の世の中を映しているような空。
お盆の最中、用事があり西和賀を通った。
寄り道して湯川温泉に。
そこで見た平泉、中尊寺に800年の時を経て復活した古代の蓮。
奥州藤原氏の平泉に通ずる街道があった。
街道は「黄金の道」と称され、周辺で採れた金を運んだ。
その縁で中尊寺蓮が株分けされた。
温泉街を車で回ったがひっそりとしていた。
湯川温泉に昔々に泊まった事がある。
父方の親戚が集まった。
昼下がり、大人達はビールを呑み始め賑やかだった。
中学生の私は、まだ小さな従妹たちの手をとり、
温泉の辺りを散歩した。
あの頃の一日は長かった。
湯田から国道は不通区間があり秋田自動車道で北上方面へ。
走りながら色んな事を思った。
ランドセルも制服も着なくなり、大学生になると、
東京で友達と呑んで歩いてばかり。
帰省しても毎日のように出かけた。
そんな学生時代、
たまに親と話すと言い争い。
肩まで伸びた髪、近所をピンクのタンクトップで歩く長男。
「なにがいいんだ、その恰好は。」と呆れる父に、
「どうせ、面接では髪は切るさ。」
吐き捨てるように言って出かけた。
帰って来たと思ったら出かけてばかり、と思っていたらしい。
今にして想えば、両親と一つ屋根の下で暮らした年月は18年。
人生の時間からすれば、短い。
高校を卒業し、岩手を離れた同級生も大半が戻ってこない。
故郷に戻った同級生達も勤め先の近くのアパートに住み、
家庭を持つと自分の家を建てた。
友達の多くは、そんなところ。
落ち着いて話が出来る歳になって母に続いて父も病に倒れた。
父と2人で呑んだのは、1度きり。
今年のお盆は、鮨折やテイクアウトが多かった。
その日は、盛岡の八幡町の「千代寿司」
綺麗な鮨を見ていると華やいだ。
いつも思うが綺麗で、美味しい鮨だ。
食べながら昔の事を思い出した。
子どもの頃、一度、父の同僚との呑み会に連れられて行った。
テーブルには、刺身のほかにかんぴょう巻や小肌が並び熱燗を呑んでいた。
話も分からず、端っこで鮨を摘まんだ。
かんぴょう巻より、ウニやイクラが食べたいと思っていた。
今ではかんぴょう巻が好きだ。
すしを食べる時に欠かせない。
いつも終わり頃に、じっくり味わう。
先日、墓参りに行くと墓石の傍にキキョウが咲いていた。
北国では旧盆が終わると朝晩の風が肌寒くなる。
また一年が過ぎた。
今年もお盆は親戚の行き来もなかった。
でも、その代わり、もの思いに耽る時間が、たっぷりだった。