My Ideal · Art Tatum
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先週末、ある人から夕飯の誘い。
「何にします?」と聞かれ「肉!」と言った。
「肉の塊」を食べたくなった。
珍しく野性的な食欲の夜。
「じゃあ焼肉にします?」
「ビーフシチューが食べたいんです。」
盛岡市上田の「むら八」さんへ。
オーダーして小さなパンフを開いた。
コンパクトに書かれた店の歴史。
「むら八」は、旧生姜町に昭和十二年の創業で、カツ丼が人気だった。
昭和二十年代に南大通りに移転。
そして、現在に至る。
盛岡の駅ビル、フェザン店や
フランス料理の「シェ・ムラ・ブルリス」の3店舗。
南大通りにあった頃に家族で行った思い出などをよく耳にする。
小さなカツとミニサイズのビーフシチューのセットにした。
野菜を巻いたカツと小さなヒレカツ。
まず、カツから。
ポン酢にしたり、ソースを選んだり、
サクサクから始まり、口の中でジワリと広がる肉の旨味。
自家製のドレッシングやソースを選んで楽しむ。
美味しい。
前は小さなすり鉢でゴマを擦り、ソースを入れたが、
今は容器に入っている。
瑞々しいキャベツ、ご飯やみそ汁のお代わりもできる。
ミニサイズのビーフシチューがきた。
ミニでもたっぷりの肉の塊。
食欲をそそる濃い琥珀色の輝き。
ビーフはスプーンでもちぎれる。
柔らかく、心に染みる肉の旨味。
濃厚なのに心地良い喉越し。
この辺りから無口になって黙々と。
長い時間煮込まれた深い味わい。
肉の旨味や色々な野菜、バターや赤ワインなどに香辛料。
それが一つになった美味しさ。
これしか説明できないのが口惜しい~
以前、料理長さんが話していた。
「季節などによって味を変えています。日々、研究です。」
美味しい料理への飽くなき探求心。
さて、食いしん爺的にはご飯も大切。
噛むほどに甘み感じる。
ご飯にソースをちょっとかけて食べたり。
一緒の人は「ねぎみぞれカツ定食」
ビジュアルに見惚れた。
レモンをたっぷり絞り、ついてきたソースをかけながら言う。
「カつを隠すたっぷりのみぞれ、ネギ、それをキャベツが包んでる!」
嬉しそうだ。
食後にソフトクリーム。
「奥中山の三谷牧場」さんの牛乳を使い、ヨーグルトだけで作ったソフトです。」
と店の方。
「むら八だけでしか食べられないのです。」とニコリ。
しっとりと落ち着いた感じの白。
品のいい艶。
ヨーグルトの心地良い酸味。
こんなに後味がスッキリとしたソフトは初めて。
プリンもほどよい甘さで美味しかった。
老舗の洋食屋「むら八」さんの進化は凄い。
伝統の味を守りながら、
地元の新しい食材を活かし新しいことに挑む。
料理を待つ間に読んでいた小さなパンフは、
ギフト「ハレの日の陽食屋・むら八」の紹介だった。
「なるほど」
老舗として長く続くということが、ちょっとだけ分かった気がした。