Forgotten Saga|和泉宏隆
<音楽が流れます、音量に注意>
盛岡の岩山。
さして標高は高くないが、盛岡の街を一望。
岩手山の雄姿が近い。
二つある展望台の下の方に「GEN・KI」がある。
「見晴らしカフェ」と勝手に呼んでいる。
岩手山も雲に隠れ、
街は春霞。
それでもガラス越しに広がる街は綺麗だ。
ここから雲を見るのもいい。
今日はランチ。
見晴らしカフェ「GEN・KI」の「世界の岩山カレー」セット。
マスターは、昨年の11月、
ひと月店を閉め、
京都へ自転車の旅をしてきた。
事実は小説よりなんとか、
という風に色んなことがあった旅だった。
一度、記事を載せたが続編が滞っている。
いつか、纏めて報告したい。
カレーは、じっくりと煮込まれた色々な具材が、
一つになって美味しい。
辛さよりスパイスと野菜の旨味を楽しむカレーだと思う。
その日、「桜のシフォンケーキ」にありつけた。
ふんわり、しっとりの中に塩味の桜がアクセント。
セットの「黒千石大豆珈琲」
大豆の風味がいい珈琲。
気に入っている。
帰りに見つけた桃の花。
鮮やかな花を見て、
昨年の友達が作った見事な桃を思い出した。
もう十数年も前になるだろうか、
彼は、リストラで花巻に帰ってきた。
自分が切り捨てる立場になり、
嫌気がさして会社を辞めたらしい。
一つ歯車が狂うと連鎖した。
会社、家庭から逃げ出すようにして故郷へ。
ここ数年は、実家の裏に小さな果樹園を作り、
昨年、見事に実った桃。
段ボールを開けて美しさに驚いた。
実はしっかりとして果てしなく甘かった。
今まで生きてきた中で、最高の果実の一つだった。
ひと切れごと噛みしめた。
葡萄や林檎も始めた。
今年も楽しみだ。
彼の人生の歯車は、
静かに動き出したようだ。