Sadao Watanabe "Call Me"
<音楽が流れます、音量に注意>
オーナーが淹れる珈琲の雫を見ていた。
しだいに香り立つ。
今は、ビニール越し。
「あ~ 美味しい」
ひと口目で電話。
外で話して戻る。
いつものようにお洒落な蓋。
少しでも冷めないように嬉しい気遣い。
いつもカウンターの片隅。
端っこが好きだ。
マスターと世間話に花が咲く日。
雑味のない美味しい珈琲を楽しんだり。
そして、今日は珍しく花を見る。
電話しながら、
外の小さな花壇も見てきた。
今年は桜を存分に楽しんだ。
いや、まだ北国は現在進行形。
そして、いつになく花に目がとまる。
なぜだろう。
この頃、
ふとした時に子どもの頃の想い出に浸る。
昭和の頃は、
山吹や菜の花の黄色、
桜色に薄紫。
冬の白と黒の世界から新緑へ。
濃い緑と向日葵に真っ赤な鬼百合。
山が燃える秋。
色の移ろいの中で遊んでいた。
思春期からの想い出は、
モノトーンが多くなる。
そんな気がした。
いなだ珈琲舎も数年が経ち、
隣に焙煎所。
菓子工房も。
焼き菓子も並ぶ。
今、いなだ珈琲舎で、
人気らしい焼き菓子「まめこさん」
早速、買って帰ろう。
テイクアウトも始まった。
「幸せのチーズケーキ」も小箱に詰めてもらおう。
コロナ禍で、アクリル板とビニールの仕切り。
そのうえマスクをしての会話。
そんな光景は、いつまで続くのだろう。
思い出して笑う日に蘇る世界は、
色で溢れるように沢山の花を見ておこう。