Kristina Cooper-"Emanuel"
<音楽が流れます、音量に注意>
しんしんと雪が降る。
白い妖精が舞うように。
でも、時には白い悪魔に豹変。
自分の記憶を遡り、
辿り着くのは、いつも同じシーン。
暗がりの中、街灯に映るボタン雪。
板塀に斜めに積み上げられた雪の壁。
小さな子供が、父親に手をひかれ歩いている。
煙突のついたストーブ。
その部屋で、白いベッドで母が横になる。
傍に、小さな顔。
たぶん産婦人科ではなく、助産師さんの所だと思う。
自分は、母の実家で産まれた。
なぜか妹は、違っていた。
ほんの数秒のモノクロームの映像。
その母は、北国に雪が、ちらちらと舞い始める頃、
静かに逝った。
2月の大雪で、
盛岡にしては珍しく道の両端に白い壁。
病院へ向かうのも大変だった。
そんな中、父は、二晩も続いたチェーンブレストで、
体力を使い果たし、猛吹雪の日、
天に昇った。
幼稚園や小学生の頃、
ぽっぺたや掌を真っ赤にしても雪の中で遊んだ。
「寒い、寒い」という記憶が無い。
細胞分裂が盛んな頃は、
冷えても炬燵で顎まで入っていれば、
すぐに温まったのだろうか。
そう言えば、
子どもの頃、小さな森の中で、
「おぉ~い!」
と叫ぶと積もったばかりの小枝の雪が散った。
あれは、偶然だったのか現実なのか?
今度、鞍掛山の麓の森で試してみよう。
寒い日が続く、盛岡。
氷点下10度より下がる日々。
その夜は、盛岡の通称「南イオン」の近くで仕事。
遅い夕飯は、イオンで。
「一汁五穀」
イットゴコクと読むそうだ。
美味しいご飯にとろろ。
銀ヒラスの粕漬け焼き定食。
外食が続くと定食が食べたくなる。
粕漬けのヒラスは、身崩れしないが柔らかく、いい味。
ご飯がすすむ。
そして、とろろご飯とくれば、かっこんでしまう。
野菜たっぷりの味噌汁に身体が喜ぶ。
窓の外は、もうかなり冷えている。
寒い夜は、足元で雪が鳴く。
キュッキュッっと。