『J.S.バッハ』メドレー25曲
<音楽が流れます、音量に注意>
初冬の気配が漂う北国の街、盛岡。
隣の滝沢市の「マイヤーリング」へ。
盛岡と滝沢は街並みが続いて境が分かりにくい。
この辺りまで来ると岩手山が大きく見える。
店の奥にある小さなカフェ。
今は、テーブルの間隔が広くなり木の床が目立つ。
自分的、晩秋の恒例「モンブラン」と珈琲を頼んで奥へ。
<マイヤーリングのモンブラン>
マイヤーリングのケーキは、
甘さ控えめで気品があると思う。
中でも好きなモンブラン。
口の中に広がる栗の風味が心地良い。
いがから剥きだしの艶々の栗が見えるようだ。
オーナーが、栗の味をひきたてる。
何度も頷きながら、
今年の「秋の終わり」をあっという間に食べてしまった。
その日、もう残り少ないモンブランを2個、テイクアウト。
知人に届ける。
これも恒例行事。
可愛らしい庭を眺めると、前には見た記憶のない絵を見つけた。
スタッフに聞くと、
「夏にオーナーが描きました」
この熊のマスクもオーナーかなあ~
いつもチラリとガラス越しの姿を見て帰る。
真剣な眼差し、無駄のない動きで一心に作っている。
夏のスイカのケーキも好きだ。
しかし、今年は食べられずじまい。
滝沢はスイカの産地。
地元の素材を大切にして見事に瑞々しいままケーキにする。
季節の味を楽しませてくれる「マイヤーリング」
次は、「シュトーレン」
今年もクリスマスまでもつだろうか。
マイヤーリングのドアを出ると「美味しい時間」から日常へ。
心満たされ、ケーキの箱を抱えて車に乗り込んだ。
帰り道、岩手県営運動公園に寄った。
スマホの歩数計で五千歩を目指し歩く。
日本庭園の池は、水を抜いて掃除中。
少ない水の池にサギだろうか?
羽が真っ白で奇麗だ!
浅くなった池を歩いていた。
きっと食事の時間なのだろう。
奥の方で見つけた晩秋の名残。
葉が落ちた樹々の中を走る子達。
競いあい、高校生は風になる。
県営運動公園のサッカー・ラグビー場は、芝生になっていた。
あの頃は土だった。
試合中、皆のスパイクから上がる土煙。
このグランドを十数年、
楕円のボールを抱えて駆け巡った。
フェンスからしばらく覗いていた。
人と人がぶつかると予想もしない重く鈍い音。
初めて見に来た人が言った。
「大勢のいい大人がたった一つのボールを奪い合うって、なんか可笑しい。」
むきになってラグビーの醍醐味を語ったものだ。
スマホを見ると六千歩を超えていた。
さて、ケーキを届けに行こう。
少し欠けた月が枝の間から見えた。
シャッターを押して思った。
「もう、あのグランドを駆けることはないんだなぁ~」
「街は、静かに黄昏れる。」