盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意して下さい。>
昭和28年創業「龍華」。
龍華は盛岡市紺屋町にある。
紺屋町の通りは中津川に沿う様にあり、
南は肴町、北は擬宝珠のある上の橋の辺りまで続く。
ゆっくり歩いても10分ほど。
赤レンガ館(旧岩手銀行本店)、
盛岡信用金庫や茣蓙九など歴史的な建物がある通り。
ほかに南部鉄器の工房、老舗の南部せんべい店、珈琲店も。
川縁には野の花美術館やひめくりという素敵な雑貨店もある。
町の名前の由来は紺屋(染物屋)が集まっていたことで今も染物屋が残る。
最近、マンション建築の問題が起こったが、
茣蓙九にワインのアッカトーネが入り、
古民家を改築したミナペルホネン盛岡が
開店するなど古い建物を活かした魅力的な場所もでき、心地よい新しい息吹が
落ち着いた街並みに、ごく自然に溶け込んでいる。
いかにも町中華らしい店構え。
Billy Preston - My Sweet Lord
この近くで長年サラリーマン時代を過ごした。
出前で世話になったり、
ランチや残業前に仲間と来たり、
よく食べに来た店の一つだ。
今はカウンター席も。
前に来た時、
「ちょこちゃん」の話を聞いた。
どこからか訪れる猫。
決して店の中に入らず、ちょこんと座っている。
それでちょこちゃん。
現れると、行儀のよい猫ちゃんに餌を出す。
この街のあちこちに顔を出すらしい。
店主の方に声をかけた。
「ちょこちゃん、元気ですか?」
「それが、たまに来るんですが、殆ど食べないで帰るんです。」
「そうですか・・・」
「みんなで心配してるんですよ。」
どうしたのだろう。
飼い猫か野良猫かも分からないらしいが、
もう、かなりの高齢だと思う。
頼んだラーメンと半チャーハンのセットが来た。
そうそう、これこれ!
レンゲと箸を持ちかえながら無心で食べ続ける。
懐かしい味に心が和む。
チャーハンは、ほどよいパラパラ感。
ラーメンは、やや縮れ麺にスープがしっかり絡む。
美味しい~
思えばあの頃、忙しい日々を送っていた。
特に、ある大型プロジェクトに関わっていた頃は、
仕事の仲間と連日、2食を共にした。
やはりラーメンとチャーハンを食べていた時、
3年一緒だった仲間が言った。
「完全に家族より、一緒にいますよね。」と。
大学の友達とひょんなことから連絡がとれる様になり、
時折、手紙のやりとりをしている。
ある時、こう書いてあった。
「自分が何十年も同じ会社にいるとは思わなかった。
どこか、半分腰掛のつもりもあった。しかし、入った時の人間関係が
よくて最後まで勤め上げた。
その組織で続くと言うのは、案外、そんなものだと思う。」
確かに我が身を振り返ってみても良き先輩、仲間に恵まれた。
管理職になり孤独の階段を上り出すと、
時に自分の力で今がある、なんて勘違いをしたものだ。
上れば上るほど、先輩方の顔が浮かんだ。
一つの仕事の成功は、関わる多くの人の力が必要だ。
そして、後輩たちも今、同じ階段を上っている。
久し振りのラーメンとチャーハンの味は、
今もしっかりと、心に沁みついていた。
皆が心配するちょこちゃんは元気だろうか。
そうそう、盛岡は何年も猫の殺処分ゼロが続く街らしい。