Lola Albright - I've Got a Crush on You
<音楽が流れます、音量に注意>
ある納涼会で、珈琲の話になった。
すると「エスプレッソを飲みに来ませんか」と誘われた。
「へぇ、いつでも行って、いいんですか?」
「なんなら明日でも」と笑う。
「ありがとうございます。」
翌日、午前中、あちこち走り回って少し疲れた。
ランチを簡単にすまし、家路へ。
「そう言えば、この辺だ。訪ねてみようかな?」
「いつでも、どうぞ」の意味は一応知っている。
宴席での話。
いくらなんでも翌日に来るとは思わないだろう。
でも突然、湧き上がるアドレナリン。
直ぐにスマホを手にとった。
「昨夜は、どうも、実は今、近くに居るのでエスプレッソいいでしょうか?」
数秒の静寂の後の「いいですよ」
事務所兼自宅だった。
躊躇なくチャイムを押した。
とても歓待してくれた。
そして早速、エスプレッソ。
自宅にエスプレッソマシンもあった。
イタリア製のマシン。
珈琲は、エボリューションらしい。
初めて聞いた名前。
玄関にイタリア製の車があった。
聞いてはいたが、相当のイタリア好きの様だ。
エスプレッソは、お世辞抜きで、とても美味しかった。
伝えると喜んでくれた。
チョコレートまで。
いただきながら見渡すと事務所兼自宅の一階は、不思議な空間。
小さなテーブルには、ネジ。
取手も小さなものもある。
しかし、町工場的な雰囲気でもない。
「何を作っているんですか?」
と聞いてみた。
機械の設計とサンプルを制作し、色々な工場に納める仕事だった。
隣の部屋のパソコンで3D設計するとのこと。
ここには沢山の企業秘密がある。
しかしとても繊細な仕事だ。
いわば、製品を作るロボットの設計をする人。
機械の設計士だ。
何度も催事や宴会でお会いしているFさん。
いつも宴席で余興をしたり、
人を笑わす冗談ばかりのイメージだったので驚いた。
翌日、忙しいのに、突然現れた客をもてなしてくれた。
「今度は、前もって連絡します。美味しく頂きました」
この人の創る機会には、きっと心が籠っているだろうと思った。
「昨日の今日」と思ったら急に恥ずかしくなった帰り道。
どちらかと言うと慎重な自分なはずなのに、
突然溢れるアドレナリン。
これって自分だけなのだろうか・・・