Sarah Vaughan - Speak Low
先週末、花巻へ
用事は順調に片付いた。
少し夕暮れ時の街をぶらり。
小さなイベントがあり、でみせが十数店。
例により検温、アルコール消毒にマスク。
見て回るうち胃がそわそわ。
少し買い込んで、
街を流れるせせらぎの階段に腰をおろし、
花巻の空を見上げた。
夕焼け空に三日月の不思議な西の空。
ぽかんと眺めていると南の空に飛行機。
花巻には空港がある。
今、コロナで、
どれだけの人が乗っているのだろう。
腰かける、立ち上がる時の「よいしょ」
と声が出る。
いつの間にか身についた小さな掛け声。
今年は、見られない9月の「はなまき祭」
高校生の頃、
人混みの中を昼から夜まで歩き回っていた。
いくら疲れても、一晩眠れば大丈夫だった。
あの頃の数人の笑い顔が浮かんできた。
女子高の生徒とすれ違う時、
みない振りして輝く眼。
懐かしい街の空はとても広く見える。
でみせで買ったのは、
ハムカツと焼き鳥と竹の子ご飯。
衣に包まれたハムは、厚く食べ応え十分で、
美味しかった。
焼き鳥はねぎま。
やはりビールが恋しい。
あっさりとした味付けの竹の子ご飯もペロリと平らげた。
腹ごしらえも整い、車を停めた場所へ。
百日紅の紅い花が、夕日の朱に染まる。
駐車場につく頃、西の空は紅色。
雑誌の写真を見て、こんな空は現実にあるのかな?
と思う事がある。
でも、たいていある。
自分の記憶は、時間とともに鮮明さが薄れてしまう。
どうにも平凡な感性。
だから、そのままを写真に収めておこうと思う。
一枚の写真があれば、
想い出は鮮明に蘇る。
「おっ!」
小さく叫んでしまった。
気配を殺すかのように、
烏が静かに電線にとまっていた。
ちゃんとソーシャルディスタンス(笑)
烏には三日月や夕焼け、飛行機がどう映っているのだろう?
刻々と変る空
目の前の流れていく時間は、戻らない。
花巻の空が、なんだかとても広く見えた。
静かに今日が、暮れていく。
さあ、盛岡へ帰るとしよう。
「よいしょ」と車に乗り込んだ。