猛暑の夏
北国の街も暑い。
誰も空を見ないで歩いている。
「かき氷は?」
「お~ いいアイディア!」
ハンドルを切った。
一つ仕事が終わった帰り道。
「造り菓子 竹芳」に向かいながら、
和菓子も食べたいと秘かに企む。
<柚子のかき氷>
コロナで店の中では食べれなかったが、
庭先の椅子を勧められた。
小さな竹林の下、空を仰いだ。
竹の葉もやつれて見える。
ひと口で、滲んだ汗がひく。
首の後ろにキーンときた!
この感覚、久し振り。
なんだか嬉しくなっていると、
隣の人も顔をしかめて、首を抑えていた。
<抹茶のかき氷>
白玉、小豆が底に。
冷たいモチモチ。
暑さを忘れるひと時。
そこで和菓子を開けた。
なんと赤とんぼがとまっていた。
もう、和菓子は立秋。
涼しくなった喉を心地良い甘さが通って行った。
椅子から立ち上がると涼を片手に、数人が来た。
また車が停まり、女性二人が店に入って行った。
車に乗り、ちょっとだけエアコンの風を止めた。