G線上のアリア 中川昌三
<音楽が流れます、音量に注意>
あまりに素敵で、
口にするのを戸惑うお菓子に出会う事がある。
小学生の5年生だったと思う。
毎月、いや隔月だったろうか、1年間、
家に届くお菓子のシリーズがあった。
「世界のお菓子」みたいな企画名だった様な。
我が家にしては珍しい贅沢。
頑丈そうな鞄に詰め、運んでくるオールバックのおじさん。
魔法の使い手みたいな気がした。
はっきり記憶にあるのは、バナナボートやミートパイ。
その頃、届く物は、みんな珍しくて綺麗だった。
食べるのが惜しいと思って見とれているが、
あっという間になくなった。
このお菓子を見て、そんな事を思い出した。
「お花のぼうろ」
<函館「フラワーピクニックカフェ」>
とても綺麗で食べるのが・・・
ゆっくり食べて、在宅時間の楽しみにしよう。
「ぼうろ」とは、ポルトガル語で、
ケーキなどお菓子の事を言うらしい。
一つの花を口に入れた。
サクサクと分かれて、ゆっくり溶けだした。
一つ一つ手作業から生まれる「浪漫風味」
眼で楽しみ、優しい味に癒される。
北国の大地に、
春が来て一気に花々が咲き乱れる頃に、
届いた「お花のぼうろ」は、心にも咲いた。
見とれて色々と思ってしまう夢のあるお菓子。
いつか小さな女の子にプレゼントしてみたい。
開けた途端の歓声と眼が丸くなる驚き。
きっと幼心の記憶にしっかりと残るだろうなあ~