Playing Love - The Legend of 1900
<音楽が流れます、音量に注意>
いつものように、午後はゆっくり始まる。
「風光舎」が店を開けたらしいと知り、車を走らせた。
毎年、見たいものがある。
街なかはスイスイ、やはり車が少ない。
風光舎に入る道から黄色が見えた。
やはり咲き始めていた。
<「風光舎」のアプローチの見事な山吹>
木の小径に、伸びてくる。
5月になると、見たくて落ち着かない。
生まれ育った家は、丘の中腹にあり、
丘一帯の桜が咲き終わると小さな谷は、山吹色に染まる。
勿論、水仙や菜の花もそよ風に揺れる。
彩の春、そして立夏の頃へと続いて代わる代わる咲く花。
住宅地のはずれは、自然が溢れていた。
ゆっくり歩いて、ドアを開ける。
オーナー夫妻が迎えてくれる。
席数を減らし、換気にも気を配っていた。
<奥さんの手作りの「ことわり書き」>
いつもの窓際の席に。
窓からの眺めは、本当に絵画の様なのだ。
新緑の間に、まだ残雪の残る岩手山の姿。
耳をすませば、小鳥のさえずり。
この窓のそばで、
深煎りのケニアと、今日のおやつのバナナとクルミのケーキ。
珈琲の香りを吸い込む。
雑味なく美味しく、のど越しもすっきり。
ついつい飲んで、お代わりしたくなる。
ケーキは、バナナの風味がたっぷりで、
クルミの食感も楽しい。
美味しい珈琲とケーキ、
そして、絵画の様な光景。
ゆっくりしていると、
そろそろ閉店時刻。
会計を済ませ、ちょっと庭の散歩をお願いした。
ひと歩きして戻ると、
2本並んで、背丈ほどの若木に白い花。
近寄ってみていると、奥さんが出て来た。
「林檎の花です。今年ようやく咲いたんです。」
微笑みながら戻って行った。
秋が楽しみだ。
今年も山吹が見れた。
もう少しで満開となり、アプローチは山吹に染まる。
近頃、毎年の儀式の様に、
子供の頃の記憶の色を見ないと気が済まない。
これで、小さな谷、一面の山吹の記憶は色褪せないだろう。