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「盛岡食いしん爺のもりおか自慢」の改訂版を
ジュンク堂書店池袋本店で、置いてもらえることになった。
丁度、その日に打合せをしていたスタッフと小さなお祝い。
「なにか食べに行きますか?」と聞くと、
「代一元の温麺を食べてみたいです!」ときた。
その夜、
八幡の通りに出ると夜風が冷たい。
二つ、カバンを肩から下げて両手をポケットに突っ込んだ。
歩いていると小さな駐車場の車の下に猫が入り込む。
エンジンの温もりで暖を取る。
北国の冬は、エンジンをかける前にフロントをバンバンと叩く。
猫が逃げ遅れないように。
その夜は、あちこちのテーブルが賑やかだった。
テーブルが良かったが、仕方なく小上がりに。
「温麺二つください」というと
「良かった~、千葉さん、冷麺かと思った。もうないんですが温麺は大丈夫!」
「入って来ると顔に冷麺って書いてるんですね」と向かいの人。
釣られ笑いしながら、ちゃんとカルビとレバーも頼んだ。
焼き肉が終わりかけて登場。
向かいの人は、
「美味しい」と言うなり、夢中。
たっぷりの野菜に極細麺。
冷麺は、店で作るが、温麺は乾麺を東京から取り寄せているそうだ。
ほどよい辛さのスープがしっかり麺に絡んで美味しい。
もう仕事の話には戻らない。
代一元のおかあさん自慢のスープ。
牛骨スープに麺を隠すほどの野菜の旨味も加わり、身体も元気になる。
以前、別の場所で店を構えていた頃は、温麺が人気だったが、
盛岡の冷麺ブームで、今では冷麺の方が出るそうだ。
ここでは銀色の器に入っていて、麺も太く強いコシ。
盛岡冷麺とは一味違う家庭的な味だと想っている。
代一元を出て、別々の方向に解散。
車に乗ると温度計は6度でも身体は温もっている。
ひと月前まで蒸し暑かったのに、もう吐く息は白く、コートが欲しい。
陽も一気に短くなり、もうすぐ道に乾いた落ち葉が舞う。
この頃は、少し寂しい気持ちになり、代一元の温麺が恋しくなる。
<改訂版 盛岡食いしん爺のもりおか自慢>