<音楽が出ます、音量に注意>
「蕎麦屋の中華そば」に惹かれる日がある
よく出汁の効いた透明なスープを想像してしまう。
ましてや、創業400年、老舗中の老舗「橋本屋本店」となれば期待、大。
真夏のある日、
昔のちょっした出来事を想い出してから、時々訪れている。
その夜は県外に出かけてきた。
小旅の先で、無性にラーメンが食べたくなる事がある。
それに似て、恋しくなった。
「橋本屋さんワンタンメンは、8枚も入ってます!」
と言っていた人の顔が浮かび、暖簾を潜りながら決めた。
<橋本屋本店のワンタン麺>
テーブルに置かれた堂々とした器
ずっしりとして、なんか大きい。
スープは予想のとおり、澄み切って出汁がよく効いて美味しい。
麺もいい。
さすが見事なバランス。
さて、ワンタン。
普通に3、4枚が見えて拍子抜け。
「なぁ~んだ」
ツルリと一枚を口に入れると具もたっぷり。
ところが、ワンタンの下に、またワンタン。
食べても食べても出てくる。
8の数字が頭にあり、ワンタンを数えた。
驚きの8枚。
期待どおりに美味しかった。
ボリュームもなかなかで、自分には、小腹が空いた程度では手強い。
若かりし頃
ある呑み会が橋本屋本店の2階であり、中締めも終わって席に座る。
先輩が、
「蕎麦が残ってるな、せっかくだから食べよう」
そう言って、何枚か集めて食べ出した。
帰り支度の人達もいたが、それぞれ小さな輪を作り、話し込んでいた。
2人で、7、8枚ぐらいは食べたと想う。
「じゃあ、帰ろかな」と先輩と立ち上がった。
同僚の一人が寄って来て、
「蕎麦がない、あっ! 2人で、全部、食べてる!」「楽しみだったのに!」
数人の悲鳴。
先輩は平然と「なんだ、残したとおもって2人で食べた。あ~満足、千葉君、帰ろうか」
今では笑い話だが、ある人の視線が忘れられない。
まさに食べ物の怨み(笑)
しかし、あの頃はよく食べた。
盛岡の蕎麦屋さんでの宴会には、〆と言えばお椀に蕎麦。
どこで食べても美味しい。
今でも、ついつい2杯は食べている。