県道1号線のミニドライブ<1>
昼頃、盛岡の街を抜け、西へ。
国道46号線から繋温泉の方へ左折。
御所湖沿いに鶯宿温泉方面へ走り、途中から横手方面に向かう。
山間に入り、山伏峠。峠と言っても今は長いトンネルの真っすぐな道。
「昔はね、道も狭く九折だったんだなあ~」と言うと。
「前に通った時にも言ってましたよね」と助手席。
「たしかに」
トンネルを抜けると西和賀町の沢内。
奥羽山脈に沿って伸びる盆地。
南部藩の隠し田で、民謡「沢内甚句」に三千石と唄われている。
3月半ばになっても雪は、まだ家の1階を包み込む豪雪地帯。
昔々、飢饉の年、年貢を減らすため「よね」という庄屋の娘を藩に差し出したという。
その悲しみを唄ったのが「沢内甚句」だそうだ。
古刹「碧祥寺」の向かいにある農家食堂「およね」
ここの手打ち蕎麦が目的の一つ。
<「およね蕎麦」 湯気でぼやけても山菜の量たるや、ご覧のとおり>
素朴な味の手打ち蕎麦は、汁を吸い込みながら一層、美味しくなる。
山菜は、わらび、竹の子になめこが蕎麦を隠すほど。
奥の畳の席に母と子の3組のお客さん。
「はいはい」がようやくできる頃。
店の人達に囲まれご機嫌の赤ちゃん達。
沢内に乳児の死亡率ゼロに向かって頑張った人達がいた。
店の中は、赤ちゃんからおばあちゃんまで穏やかな笑い声。
眼の前の自然な日常のひとコマ。
なんだか日本の原風景を見ている気がした。
昔は、こんな風景をあちこちで見たんだ。
この世に生まれ、乳児は、すくすく育つようになったが、
いつのまにか虐待や待機児童やら幼児を取り巻く環境は大変になった。
「大家族みたいで、とってもいい感じですね」
と同行の人。
気がつけば自分の頬も緩んでいる。
実は、母がこの「およね蕎麦」と「沢内甚句」がお気に入りだった。
唄い出すと・・・・(笑)
母がいたら赤ちゃんを抱っこしていたに違いない。
一緒におよね蕎麦を食べたかった。
遅い昼ご飯ながら満足して、次の目的地に出発。