<音楽が出ます、音量に注意>
水色の空、
散歩しない手はない。
肴町から一直線。
遠くに見える盛岡八幡宮を目指す。
通りの真ん中辺にある番屋を過ぎ、郵便局の向かいで立ち止まった。
「陽月」さんが開いている。
吸い込まれるように店の中へ。
<ぶちょうほ まんじゅう>
近頃では週の半分も開いていない。
見つけて立ち止まる車も。
「米の粉ば、いっしょけんめいにこねで、まねっこのできねぇしなみっこと、
味っみをだし。中に黒蜜っこをいれ、うえにクルミっこのせやんす。
歯ざわりりっこがよく、味っこが口いっぺぇ広がりやんすな、とおほめっこ
いただきやす。
蜜っこがプチュっとはねて、不調法するときもありやんすが、
お許るしぇってくなんせ。ぶちょうほまんじゅうと言いやんすからなっす。
きょう中に食べてくなんせ」
(陽月さんの「ぶちょうほまんじゅう物語」より抜粋)
味と食べ方は物語のとおり。
断面をお見せしようと想ったのが大間違い。
危うく黒蜜がパソコンまで跳ねるところでやんした。
店番の奥さんと少し話した。
「近頃は、なかなか開いてませんよね?」
「はあ、年ですから」
もう80歳を超え、一生懸命、米粉をこねるのも体力がいるようで、
やはり開ける日は、半分以下になってきたという。
洋菓子店での修行から始まりクリスマスだけは特別にケーキを作る。
長年にわたり作り続けてきた職人が辿り着いた「ぶちょうほまんじゅう」
艶々としてもちもちっとした食感の次にくる黒蜜のわい。
とても美味しい。
盛岡に沢山あっただんご屋さんもずいぶんなくなってしまった。
食いしん爺が店の親父さんの年齢になった時、
街は、どんな顔を見せているのだろう。
連なる空き家と草茫々の空き地が連なる光景だけは見たくない。
せっかくなので、きなこいっぱいふりかかった餡餅も買ってきた。
とても嬉しい散歩だった。