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気がつけば夜も更けて
空腹を通り越しそうで、これを過ぎると食欲を失いそうだ。
こんな時、優しいご飯が食べたい。
盛岡の県営運動公園に沿って走っていると見覚えのある店構え。
「ここ、いいよ」
もう2年ほど前、M氏に案内されて入った店。
あの夜はすでに美味しい焼き鳥フルコースと日本酒三昧。
殆ど食べず、たしか梅酒を少し呑んで帰った。
長い暖簾を分け、中に入ってすぐ「ほっとした」
身体と心が欲した「優しい晩御飯」にありつけた。
盛岡の店は、たいてい夜になるとアルコール主体で、御飯を食べに行きにくい。
「こくう」に期待感。
隣ではシルバーの夫婦がしっかりご飯を食べている。
ぽつぽつと行き交う言葉の調子は、互いを知り尽くしたリズム。
ゆっくりと食事ができた。
会計に立って目に入った大ぶりのガラスの瓶
果実酒の様だ。
「ん? ひょっとして、これイチゴですか?」
おつりを渡しながらオーナーは、
「はい、それほど珍しくないと思いますよ」とニコリ。
イチゴは、しっかり形を保ったまま白くなっていた。
しかも、あの「ぶつぶつ」はくっきり。
初めて見たが、これは身体に良いだろう。
「初めてですか?」
「いえ二度目です。Mさんに連れられて」
「あ~ 同じテーブルでしたよね」
想い出してくれたのは嬉しいが、食べ物の味に記憶がなかった。
今度は、果実酒を呑んでみたい。
「こくう」という名が気になって調べた
二十四節気の「穀雨(こくう)」から命名したらしい。
晩春で種や芽を潤す暖かい雨。
なるほど洒落ている。
春分、秋分や立秋などが二十四節気。
古代中国が発祥らしいが繊細な日本の気候に合っている。
7月下旬を調べると「小暑」梅雨が明けて暑くなりだす頃。
されど、近頃の日本列島の気候は不気味過ぎる。
梅雨はなくなり、前例のない量を降らす「豪雨前線」だ。
子どもの頃の「しとしと雨」は無くなり、咲く紫陽花はギラギラの陽射し、
かと想えば、秋の夜の様な肌寒い風。
どうなるのだろう。
与野党、どちらも地球の温暖化を憂う話は聞こえてこない。
あんなに連日、叫んでいるのに。