<音楽が出ます、音量に注意>
6月のある日
蕎麦編の過去記事を読んでいた。
今まで、直利庵を舞台にして沢山の小さな物語があった。
「甘く切ない新玉ねぎの誘惑」にかられた。
無性に。
翌日の夕方には「直利庵」に居た。
初夏から初秋はほとんど「オニオン蕎麦」
<過去記事を織り交ぜながら>
テーブルに置かれるやいなや「ハクション」なんて事になったら事件。
妄想する悪い癖。
「ハァックション!!」
ふわ~と半径1メートルに拡散し、ひらひらと無数に舞う鰹節のスローモーション。
香りも広がったりして。
さて、鰹節の丘の下に敷き詰められた薄切りの玉ねぎ
その下に潜む細く長い蕎麦は、ほどよい酸味があり、とてもコクのあるスープに浸っている。
鰹節と削り節
鰹節は、あの例の硬い物。「鉋(かんな)」で削るので「削り節」と言うらしい。
今では、あの削る純日本的な道具は、見なくなった。
母の実家の広い台所から聞こえたカツカツという音が懐かしい。
品の良い細い蕎麦
鰹節と絡まり、とても美味しい。
爽やかに喉を過ぎる。
箸で残った鰹節と玉ねぎ集める。
しっかりタレが染みて、満足の仕上げ。
蕎麦好きだった「宮沢賢治がこの蕎麦を見たら」と想像するのも楽しい。
宮沢賢治と盛岡の蕎麦
賢治は、花巻から盛岡に来て、
大正2年開業の盛岡劇場で観劇の後、
八幡界隈の入口、旧生姜町辺りの蕎麦屋に、よく寄ったらしい。
賢治は、食べながら友と蕎麦談義。
何でも、花巻では蕎麦とサイダーを頼んだという。それは、あまり・・・・・
昔、この店は、生姜町寄りにあったそうだ。
ひょっとして直利庵かも。
もし、賢治がオニオン蕎麦を食べたら何と言っただろう?
権八
直利庵のテーブルには、ワサビも紅葉卸もない。
僕は、猪口にちよっと唐辛子を入れるだけ。
老舗のタレが蕎麦を一層美味しくする。
「アメショウ君の大好物」
実はアメショウ君、鰹節に目が無い。
勿論、あの小さいパック。
どこに居ても尻尾を直立させてやって来ては、
「みゃあ~みゃ」と二度も鳴く。
甘く切ない声で。