<音楽が出ます、音量に注意>
立夏も過ぎて、
北国、盛岡の春は百花繚乱。
一気に咲く花、動き出す人々。
丘に積み上がる住宅地のてっぺんにある「きじやまカフェ」
裏手に、森が迫る。
先日行ってみた。
もう新緑に囲まれていた。
今は、陽射しに映える黄緑が優しくカフェを包むが
真夏になればこんなものじゃない。
濃くなる緑の勢いは、もの凄く、
日毎に家が隠れて、5月の終わりには消えてしまう。
きじやまカフェに拡がる珈琲の香り。
一杯ごとの手煎りが始まった。
ゆっくり待って、なかなかに美味しい珈琲を頂く。
美味しい珈琲を置きながら、奥さんから先客を紹介される。
新緑みたいに若さ溢れる青年。
奥さんが、
「この方、詩が好きなんだそうです」
と言いながら小さな本を差し出す。
写真と詩の本だった。
ジャニーズ系の若き詩人は言った。
「SNS系はあまり好きじゃなくて、紙が好きです」
写真や書くことが好きな仲間と本を作ったそうだ。
二十代前半の若き詩人の眼は澄んでいた。
そして闘志を秘めている風にも見えた。
人生を走ったり歩いたり、立ち止まったりしながら彼より先を進んでいるだけの自分。
まあ、だいぶ後ろの方に、彼はいる。
これから確実に様々な困難が襲ってくる。
その都度、彼の言葉も進化していくのだろう。
<マスターが好きで集めている銅製などの食器のほんの一部>
<肉を美味しく焼くには銅板だとマスターは言う>
この銅板だって肉を焼く度に少しづつだが確実に変っていく。
<無国籍風のマスターと明るく優しい奥さん>
この場所には、不思議と色々な人が集うようになってきた。
ますます楽しみ。
緑に包まれた空間で今日も出逢いがあり話は尽きない。
おっと、もうだいぶ陽が傾いてきた。
帰り道、一緒に行った人が言う。
「若い人は、いいね」
軽く頷いたものの、
ひと言で傷ついたり、悩んだりする青春。
今は、幾重にもオブラートに包まれ、
たいていのことは柔らかにして。
もしもどちらがいい?と聞かれたら、
迷わず「今!」と言う。
さてさて、次に来た時には、どんな出逢いがあるのだろう。