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早起きした2月27日の9時に盛岡を出発
東北自動車道で北上。
安比スキー場を左に見てトンネルを抜ける。
いつもより少ない雪。
八幡平市安代、荒屋新町。
屋根に見える雪はたっぷり水分を包み込んで重そうだ。
春も近い。
そして大きなYの字を右方向に。
八戸自動車道に入れば、目指す浄法寺は近い。
浄法寺で高速を降り、少し西へ。
目指すのは「馬場園芸」
ほどなく、道端にスタッフのはんのきざわさんが出迎えてくれた。
<マドモアゼルの指先と言われるホワイトアスパラ>
馬場園芸の「白い果実」 ホワイトアスパラと有機栽培の野菜
ハウスの中を見せてもらうことができた。
入った瞬間、息をのむ
なんと神秘的な空間だろう。
ふんわりと温もった空気に包まれていた「マドモアゼルの指先」
想わずひざまずく。
これが、フランスでマドモアゼルの指先と言われる、馬場園芸の「白い果実」
誰かから聞いた話だが、
ルイ14世がホワイトアスパラをベルサイユ宮殿で育て、
「マドモアゼルの指先」と呼んでいたらしい。
ヨーロッパでは、今も「春の宝石」と呼ばれ珍重されている。
国内では夏に向かって、北海道などで収穫される。
ところが、浄法寺の馬場農園では、真冬の12月から3月に採れる。
スタッフは、緑の棒をあて生育を図り、丁寧に切り取る。
「切ってみますか?」
「エッ!」大感激で恐る恐る一本。
「食べてみて下さい」
「えっ~!」
ついに、マドモアゼルの指先をかじった。
甘い!
ホワイトアスパラと言えば、瓶詰などの柔らかいアスパラを想像しがちだが、
全く別物で、食感は小気味よい歯応で、
なにしろ甘く、
口の中に広がる瑞々しい樹液、
馬場農園が自信を持っている「白い果実」
外へ出ても、まだ興奮気味の食いしん爺
そこに馬場さんがやって来た。
挨拶もそこそこに、感激を伝えた。
他のハウスも
馬場園芸のブランドの名前は、三右エ門(さんにもん)
これは、200年以上続く農家の屋号。
9代目、馬場 淳(ばば まこと)さんは、言う。
「冬場の雇用を創出し、通年型の職場環境を作り、地域を盛り上げたい」
なるほど。
「お客様の口に入るまで責任とプライドを持って育てたものを送ります」
馬場さんに聴いた。
「休みも頭から離れないでしょう?」
「はい」と笑った。
有機栽培のホウレン草。
葉に厚みがあり、旨味があり美味しい。
ルッコラも美味しかった。
「行き着くところ土です」と馬場さんは言い切る。
浄法寺を囲む山々からミネラルたっぷりの水と森が造る腐葉土。
正に大地の恵み。
詰め所に戻るとスタッフがホワイトアスパラを一本一本、丁寧に布で拭いては梱包していた。
彼らは、育んだ物を大切に扱い、作り手として自信を持ってお客様に届ける。
キラキラと輝くような力強い意思を感じた。
見送られながら想う
ここに至るまでには、勿論、色々なことがあったはず。
それを乗り切ってこれたのは、スタッフの力も大きい様だ。
「もう彼は、達人だ」と想う。
家に帰って生で食べたり、
焼いたり煮たり。
切り口は輝き、甘く、瑞々しい浄法寺のミネラルいっぱいの
3月の半ばで姿を消してしまう前に、もう一度逢いに行くと決めた。
「マドモアゼルの指先」に完全に虜になった。