<音楽が出ます、音量に注意>
黒毛和牛と聞くだけで、アミラーゼがじわじわと
誕生日の翌週、ある人からの電話。
「体調は、どう?」
「まあ、最近は、だいぶいい。出かけみたりして、この前は・・・」まだ話しているのに、
「肉食べましょ! お誕生日でしょ~ 少し過ぎたけどね」と元気な声。
その日、1時過ぎに菜園の「和かな」本店で待合せ
「なんでもどうぞ、任せて、おごるよ」
いやいや、出しますよ、「気持ちだけで」ってのは、こういう時に使うんだな。
短角牛も、黒毛和牛も食べたかった。
そこで、その人は黒毛、自分は岩手短角牛にした。
透き通ったガラスの上にサーモン
サーモンは苦手だったが、全く臭みも無くて脂がのって甘い。
八幡平サーモンかな?
和かなのサラダは、珍しい地元の野菜をふんだんに。そして美しい。
サラダは、ビジュアルとシャキシャキ、サクサク感を大切にしている。
眼でも楽しむ。
スープは、アサリ。
美味しかった。
五感で楽しむ
素材と調理の手さばき、
鉄板で焼ける香、
焼ける音とシェフの話、
口あたりと歯応え、
そして何と言っても「美味しい」を感じる味覚、
<昭和51年に、本店が開店>
シェフが鉄板を前に、調理しながら解説してくれる。
鉄板は、当時からの物で今も健在。
時を積み重ねた落ち着いた輝き。
きっと腰をグッと入れて磨きに磨くのだろう。
短角牛などの熟成肉は、いい具合に柔らかい。
肉の前に魚、鱈のポワレ
チーズソースがいい。
いよいよ、鉄板の上で、一瞬、炎を上げたり
食欲をそそる肉の香り。
熟成肉に塩、コショウだけで味付け。
食いしん爺は、通じゃないので、いつもウェルに近い。
ミディアム・ウェルってところか?
しっかりと表面が焦げ、真ん中にほんのりピンク色の感じがいい。
レア、ましてやローとかブルーは無理だ。
そうそう、肉の焼き方は、10段階ぐらいあるそうだ。
殆ど生からブルー、ロー、レア、ミディアム、
しだいに焼きが深くなり、ミディアムウェル、ウェル、ウェルダン、ベレーウェル
(どこか間違っているかも)
う~んとあとなんだっけ?
まだ8個だ、もう出て来ない(笑)
学生時代は、バイトのお金が入る度に、まず豪華なご飯に行ったもの。
今と違うのは、胃袋の大きさだ。
高級店に入ると緊張を必死で隠して、気取っていたが、バレバレだったはず(笑)
学生時代、あるお嬢様と仲良しだった。
お小遣いが、ドンと入るとたいてい鮨、鰻、中華を食べに。
ある日、苦手だったフランス料理店に何故かついて行った。
向かいに座るお嬢様のあまりにも自然な笑顔と振る舞いに、
ひとり、帰りたくなったことがあった。
卒業が近づき故郷に帰ろうと想い、人生の先輩に相談しようと想った。
するとご夫婦に招かれ、あるレストランで逢う事になった。
僕は、お嬢様を連れて行った。
その店のテーブル担当は、かなり忙しそうだった。
ご夫婦が相談してワインを頼んだ。
しばらくして、ワインを運んできたスタッフは、
ティスティングのグラスをお嬢様の隣の僕のグラスに注いだ。
躊躇するだけの吾が身。
咄嗟に「ごめんなさい」
彼女の手がしなやかに伸び、
向かいの人生の師の方に微笑みながら案内した。
あまりに素早く、自然に流れて数秒の出来事は、見事に笑い話しになった。
その時のワンシーンだけが残っている。
結局、ランチを御馳走になった
和かなを出ると、その人は、仕事が残っているので会社へ戻った。
外は青い空が拡がっていたが、北国の風は飛び切り冷たい。
今度は、あの人に御馳走しなくては、思い切りレトロな店なんか良さそうだ。
なんてことを想いながら、歩いて白鳥を見に行こうと想った。
冬は寒いが、いい街だ。