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なんか幸福な一日だった
十月に入り、週に三度は通っている鶯宿温泉。
偕楽園、川長山荘、長栄館。
いつも出かけるのは午後の三時過ぎ、それも雫石探訪の寄り道しながら。
そろそろ十月も終わる。
来週からは色々と動きださなくては。
少しゆっくりしようと今日は午前中に出発。
自分にとっては早めの外出だ。
国道46号線を走っていると西の空は重く低く、見るからに怪しげな空。
雫石の街の手前で雨になった。
でも、心は軽い。
昼前、長栄館に電話で確かめた。
「今日は日帰り大丈夫ですか? それから昼ご飯は?」
「大丈夫です、フロントにいらしてください」
ランチも出来ると知ったのは、二週間ほど前。
その時気になっていた。
その時、眼に止まった「焼き肉重」
鶯宿温泉が近づくと雨が上がり、一時的だろうが陽が射した。
雨の後の紅葉は、美しい。
濡れた葉の一枚一枚が色鮮やかに。
日毎に彩度を増した葉は、ついに冷たい風に舞う。
川に沢山の落ち葉が流れて行った。
長栄館の駐車場の傍らに、鳥居があった。
「温泉神社」とある。
鶯宿温泉の歴史は、古い。
約四百五十年も遡り、湯量も豊富な温泉だ。
その階段を登る人がいた。
紅や黄を見上げている。
きっと「綺麗だなぁ~」と想っているようだ。
長栄館に入ったのは1時過ぎ。
まずは、目当ての「焼き肉重」
二階の「りんどう」という場所は夜になると麺類から丼もの、酒の肴というメニュー。
勿論、お酒も。
ランチの営業は日によるらしい。
テーブルに置かれて、濃い目の味付けを予想したが違っていた。
丁度良い肉の感触、噛むほどに牛肉の旨味が染み出す。
とても美味しい。
楽しみにしてきた甲斐があったというもの。
付け合わせの御新香、汁も美味しい。
普段は飛込みが多い。
でも、今日は電話で確認し、早く来て良かった。
「あ~美味しかった」と呟いた。
旅とは
広辞苑寄れば、「定まった地を離れ、ひととき他の土地にゆくこと」とある。
たった三、四十分のドライブだが、美しい秋と美味しい秋、温もり温泉で、三時間ほど。
それでも、忘れかけていた心の何かを掴みかけたとしたら、自分にとって「旅」としよう。
今、何でもネットで各地の美味しい物も手に入る時代。
それでも鶯宿温泉に、岩手に紅葉と温泉を求めて続々と人は来ている。
みんなお土産を抱えてバスに乗り込む。
つい、美味しそうな漬物の小さな袋を買った。
新緑から紅葉、雪の世界と変わる景色、脈々と湧き出る温泉に浸る。
テレビとは違う五感の世界。
そんな事を想いながら、ゆっくり風呂。
大きい浴槽と桧の風呂、露天がある。
源泉かけ流しで、なみなみと出てくる湯量が爽快。
三つの風呂を巡る。
洗い場は、仕切りがあって隣を気にしなくてすむ。
髪まで洗った。
<これは、以前に撮った露天風呂の写真>
いつもより長風呂。
温まった身体で、ロビーへ。
アップルパイの作り手がいた。
この間、テレビにも出ていた。
地元の林檎など素材を大切にしているそうだ。
珈琲とアップルパイ。
その日のアップルパイは、林檎の甘さが存分に詰まっていた。
獲れる林檎の種類ごとに違う風味。
甘酸っぱい日もあれば、透き通った甘さの日もある。
色々な林檎の味に合わせて作るアップルパイ。
今日は、ちょっとした「旅」だった。
幸せな気分の帰り道、信号待ちでふと見た岩手山。
雲に覆われているが、はしっこに白い物が見えた。
明日には、初冠雪のニュースだろう。
よく考えると、まだ鶯宿の四季を知らない。
この冬、雪に覆われた白と黒の世界の鶯宿に行ってみようと想う。