<音楽が出ます、音量に注意>

 

 

七月末、暑い盛岡の街中を脱出、奥羽山脈の懐へ

近頃よく走る国道46号線。

今日は、網張の麓にある玄武温泉の「ロッヂたちばなの露天風呂」へ。

稲穂は真っすぐ育ち、濃い緑、水面のようにさざめく。

エアコンを停めて窓をめいっぱい開ける。

もう沢山のトンボが空を上下し、森はセミの大合唱声。

まだ時期は早いのにトンボは多く、セミの鳴き声も去年より大きいい気がする。

七月からの猛暑に、人間も疲れている。

 

着くと早速、温泉に浸り、このところの暑さで弱った身体を癒す。

いい気持の湯上り、ベランダに出ると汗ばんだ肌に川と森からの涼風。

おや?

木の手すりに小さな、何かいる?

静かに近寄るとセミだ。

そっとスマホを構えて撮り、さらに近づく。

まだ飛ばない。

手を伸ばして撮る。

 

 

近づいても動かない

妙だ、呼吸が届きそうなほど近づいても、じっとしたまま。

真横から覗いた。

小さな脚は、木肌を掴んではいないで、折り曲げて自分の懐にしまい込んでいた。

一瞬、音も風も消え、時間が止まった。

今にも飛び立ちそうに見えるのに。

 

それは、とても静かな命の終焉

6年も7年も土の中で暮らし、闇から出た地上は、さぞ眩しかっただろう。

孵化して見事に透きとおった羽で、一週間、大空を飛び回り、

森の中で精一杯鳴いて、鳴いて自分の役目を果たした。

そして、とうとう力尽き、この手摺に舞い降り、眠りにつくように一生を終えた。

 

自然界の生き物たちの命の終わりは、

静寂の中にあるのかもしれない。

この一匹のセミは、それを象徴しているかのようだ。

 

おやすみなさい

もう魂は輪廻の世界へ飛んで行ったのだろう。

 

 

 

 

陽も暮れて約束の店に向かった

「暑いね」の挨拶。

そしてセミの写メを見せながら、あの小さな物語を話した。

「じゃあ、生きるために沢山たべましょ!」

 

盛岡の南インターに向かう通りにある「瑠奈」でハンバーグ。

普通のサイズを頼もうとしたら、

「もっと食べなきゃ!」

いつもの楕円のチーズハンバーグが二回りも大きいのが出てきた。

ツナギわ使わないハンバーグは、とても美味しくて、一気に食べた。

「ちょっとだけついてくる、ナポリタンが好きなんでしょ」

向かいで笑う人は、いつもの大きさだ。

「これで、明日はゲンキになること間違いなし!」 その笑顔が、

とてもいいスパイスなのだが、告げたことは、ない。

 

<これにミニスープとミニサラダがついて、980円>

 

その夜、家に帰って

静かなセミの姿が、脳裏に焼き付いていた。

平成最後の夏の忘れられない体験。

夜更けの妄想が止まらない

だんだんと小さな足が折りたたまれ、九の字に曲がり、

動かなくなっていく姿がスローモーションで広がる。

特に悲しくも切ないわけでもない。

しばらくぼ~っとしていたら、もう空がしらんできたがさして眠くない。

 

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